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ダンジョン+ハーレム+マスター  作者: 三島千廣
第2章「迷宮都市シルバーヴィラゴ」
61/302

Lv61「崩壊予兆」

 





 蔵人はメリアンデールのアトリエでまんじりともせず朝を迎えた。

 ポルディナの寂しげな顔を思い返せば心苦しいが、あれだけ露骨に攻勢に出られればメリアンデールをひとりにしておけなかったからだ。

 ほとんど噛まずにメリアンデールの作った朝食を噛まずに呑みこむと転移陣でダンジョンに移動した。

「ねえ、すっごい顔してるけど。今日はやめたほうがいいんじゃないですか」

「はは。馬鹿なことをいいなさんな。サクサク攻略を進めていかんと、経済はまわっていかないんだぜ」

 猛烈に眠い。一晩くらい眠らないことなどしょっちゅうであったが、昨夜は異常に脳が興奮していつもの倍以上に疲れたのだ。

 襲撃を警戒して気を張っていたこともあったが、隣の寝台で寝ているメリアンデールが気になってしかたなかったことが原因だった。 

「ねえ、本当に大丈夫ですか。クランド」

 メリアンデールが心配そうにチョコチョコ袖を引いてくる。

 ぷっくりとした桜色の唇に目を奪われ罪悪感に胸がズキリと痛んだ。

(このかわいらしい唇を俺のモノで無茶苦茶に……いかん、集中しろ。ケダモノになってはいかん。理性をとりもどせ! 人間に戻るんだ、蔵人。急いては事を仕損じる! 熟した果実が自然に落ちるのをじっくり待つんだ!)

「ああ、なんでもない。行こう」

 不安定な精神状態のまま、ダンジョン第二階層攻略がはじまった。

 あいも変わらず荒涼とした風景が続いていく。

 第一階層とは違い、幾分気温は低く感じられる。

 蔵人は努めて足を早く動かし身体を冷やさないように心がけた。

 幸いにもメリアンデールは健脚だ。

 普通の女性スピードを意識する必要はなかった。

 ダンジョン内は、比較的なだらかな直線路が延々と続いていた。

 どれくらい歩いただろうか、ふたりがしりとりに飽きはじめたくらいで次第に傾斜がかかってきた。

「よし、一本入れるぞ」

 一本入れるとは、おおよそタバコを吸う一本分くらいの小休止を表す。

 メリアンデールの持参した水筒からかなり砂糖を多めに入れた紅茶と無糖の緑茶を摂取すると再び行動を開始した。

「疲れたらすぐにいうんだぞ」

「なになに。ご心配にはおよびませんよ。これでも私は足には自信があるんですから」

 メリアンデールは片足をさっと上げて健在さをアピールする。

 白い太ももが目にまぶしかった。

「あ、いまエッチなこと考えましたね」

「馬鹿な。そんなことはちょっとしか考えてない」

「やっぱり考えてたー。クランドはエッチですねー」

 きゃいきゃい騒ぐメリアンデールの仕草に激しくこころを動かされつつ、クールな表情を保った。

(おう。こういうのでいいんだよ。こういう、リア充っぽい軽いふれあいで。肉と肉とのぶつかり合いはお楽しみにとっておこうね、俺)

 軽いイチャつきが終わるとふたりは傾斜の登攀にとりかかった。

 メリアンデールの地図の見立てによると、この先に進むのはどうあっても坂を超えねばならないらしい。ちょっとしたクライミングである。

「よし、じゃあ、メリー。おまえが先行してくれ。もし、バランスを崩しても俺が受け止めてやるからな」

「はーい。じゃ、お先に行かせてもらいますねー」

 おおよそ四十度程度の傾斜が続いている。

 もちろん、メリアンデールを先行させたのはプリプリした尻を長時間眺めるためであった。ミニのスカート履いているので、ひらひらした裾からチラリと健康的な臀部が見える。

 うんしょ、うんしょ、と健気にかけ声をかけて自分を鼓舞しつつ頑張る少女を愛でながら思うさま視姦を続けていく。股間のテントが前方に自己主張をはじめた。

「くっ、出っ張りが、ひっかかるとは」

「出っ張り? あれ、そんな箇所ありましたっけ?」

「いや、気にしなくていい。それよりランタン落とすなよ」

「あいあいさー!」

「おい、そんなに急がなくてもいいぞ。俺の長旅の経験からするとだな、普段よりむしろゆっくりめのスピードで登ると疲れにくい。常に一定のスピードを心がけてだな。そう、もうちょっと腰を後ろに突き出すとだな。いや、そうそう。もうちょっと、もうちょっとだけケツを」

「ねえ、さっきからヨコシマな波動をチリチリ感じるのですが」

「馬鹿いっちゃいかんなぁ、キミぃいいっ! メリーが登る、俺が後方でサポートする! これが相棒の心意気ってもんだ!」

「そうですよね。じゃあ、私の後ろは任せましたよ!」

「ああっ! ちゃんとこの目でしっかり見張ってるからな! 安心しろ!」

 メリアンデールをいいくるめながら坂を登りきると、再び平坦な場所に出た。

「チッ、もう終わりか」

 丸い尻をもっと眺めていたかったのに。

 くうう、と心の中で歯ぎしりをした。

「いいじゃないですかー。さすがにずっと登りはキツイですよう」

「いやそんなことはどうでもいいんだが。ところでもう坂ってこの階にはないの?」

「地図によると記載されてませんね。ちょっと、アップダウンが激しいのは、第四階層ってところですかね」

 蔵人はなにげにつまらなそうな表情をあからさまにした。

 さらに黙々と歩き続けると開けた場所に出た。ちょっとした広場の趣があり、ランタンの明かりを向けるとあちこちに野営の痕跡が見つかった。テントを設置したペグの跡や、食料を煮炊きした薪の燃えカスが残っている。炭を指先で擦るとほんのり暖かさが残っていた。

「まだ二階層ですからねー。かなり大きなクランが移動していったのかな」

「そういや全然モンスターとかに出会わないな」

「むしろ一階層でシビレマタンゴに遭遇したこと自体珍しいですかね。大きなクランが通るとレベルの低いモンスターはだいたい逃げるんですよ。襲ってくるのは、ほどんどがアンデッド系か菌類、もしくは知能の低い部類です」

「ふーん。この、ものしりさんめ」

「と、いうわけですので。今日はここで野営しましょう。地図情報によると、ここは安全地帯ですので」

「マジかよ。って、今日はやけに早く休むんだな」

「といってもかれこれ八時間は行動してますから。外はたぶん夕方くらいですよ。ダンジョン内ではちょっとわからないですけど。ここで休まないと、野営できる広さの場所ってもうないですから」

「ふーん。ま、別にいいさ。じゃ、とっとと支度に取りかかるか」

 蔵人とメリアンデールは手分けして野営の準備をはじめた。

 荷物を空間圧縮したマジカルコンプレッションバックから必要な道具を取り出し、慣れた手つきでテントを設置した。寝場所を確保したらあとは食事をして休むだけである。

「今日はみんなの大好きなクリームシチュウですよー」

「おおーっ、て俺とおまえしかおらへんがな」

「てへり」

 濃厚なホワイトソースで煮こまれたシチューは見るからに食欲を誘う一品だった。

 とろり、と溶けたじゃがいもと玉ねぎを匙ですくって口内に運ぶ。

 ぎゅっと噛み締めると、バターとミルクと素材の味が渾然一体となった濃厚な甘みが口いっぱいに広がった。

「ううーん。うまっ、あいもかわらずウマッ」

「たくさんあるからいっぱい食べてくださいねー」

 蔵人は続けざま口いっぱいにシチューを頬張った。よく煮こまれて柔らかくなった鶏肉を咀嚼すると、香ばしい脂身が溢れ出て脳みそが蕩けてくる。黒パンをちぎってシチューに浸し、飢えた獣のようにガツガツと平らげた。

 蔵人が目の色を変えて料理を口に運ぶさまを見ながら、メリアンデールは頬杖を突きながら笑みを絶やさなかった。

「うーん、ここは一杯欲しいところだが」

 蔵人がリスのように頬袋をパンパンにして催促する。

「そういうと思ってましたよー」

 メリアンデールは蒸留酒の瓶を背後から取りだすとコケティッシュなウィンクをした。

 彼女はケトルで湯を沸かすと、コップに蒸留酒をついで適度な濃さで割った。

 蔵人は基本酒飲みなので、満面に笑みを浮かべてそれを受けとった。

 最初は向かいあって座っていたが、やがてはどちらともなしに隣りあって座った。

 ともかく、たいした話題があるわけでもないが、とりとめのない話を延々と続けていく。

 メリアンデールも下戸ではないので杯をそれなりに重ねるが、やがては沈没した。いくら安全といっても、完全に両者が酔いつぶれるわけにはいかない。

 蔵人はメリアンデールをテント内のシュラフに横たえると、再び薪の前に座って泥酔しない程度の薄さに酒を割ってゆっくり飲みはじめた。

 数時間が立つと、他のクランが続々と広場に集まって野営をはじめる。

「まあ、なんつーか、ほとんど観光地だよな。キャンプ場みてーだ」

 ある程度の人数が集まったところで蔵人はテント内に入り、メリアンデールの隣にシュラフを引いて潜りこむ。

 長剣を抱き寝にして、いつでも抜けるようにしておく。

 少女の健やかな寝息を聞いているうちに、いつしか浅いまどろみに落ちていった。

 休んだ時間は、ほんの五、六時間程度であっただろうか。蔵人が起床した際には、ほとんどの疲労は消えていた。

 テントを回収して再びダンジョン攻略を続ける。

 なだらかな道をひたすら踏破していく。

 途中、目ざといメリアンデールが薬草であるユキノシタウエという白っぽい花弁を持つ花を発見した。

「うーん、それほどレアではないですがとりあえず回収しておきましょう」

 ユキノシタウエは解毒作用があり一般家庭では結構重宝される部類のものだった。

 野営地を出発して数時間後、たいした波乱もなく第二階層の終着点に到達した。

「ちょっと、拍子抜けだな」

「モンスターとは遭遇しませんでしたからねー。でも、この先はかなり出現頻度が高くなってくるらしいですよ」

「望むところだ」

 続けざま、第三階層攻略に突入した。平穏はそこまでだった。

「うっわ! なんだこりゃ!!」

「気をつけてください、ブレードアントですよっ!!」

 ブレードアント。

 ダンジョン低階層に住むありふれたモンスターである。

 まず、蔵人が目を惹かれたのはその大きさであった。

 三メートル近い大きさの怪物は全体的に白っぽく、近づけば臓器が透けて見える特徴をしていた。

 大顎の部分は、その名を冠すように百センチを超す二本の牙が生えている。どんな想像力が貧困な人間でも噛まれればただではすまないと理解できる凶悪なものだった。

「群体じゃないだけマシってもんだな」

 周囲を見渡せばブレードアントは目の前の一匹だけのようである。

 そもそもが、こんな怪物に何十匹と襲いかかられれば、どんな凄腕の冒険者も生きては帰れないだろう。

 ツいているんだか、ツいていないんだか。いや、たぶんツいてない、のか?

 考えすぎると戦えなくなる。

 蔵人は脳のスイッチをばちりと遮断し、戦闘モードに移行した。

「距離をとって戦ってください。彼らはおしりの毒針でギ酸を吹きつけてきますよっ」

「そらどーも。よし、おまえは下がってろ」

 蔵人は長剣を抜き放つと片手上段に構えた。外套でなるべく全身を覆うようにする。

 敵の遠距離攻撃を警戒してのことだった。

 ブレードアントが威嚇のためか、ギチギチと顎を噛みあわせて軋んだ音を立てた。

 すり足で前進すると目前の大アリは頭をもたげて牙を振りかざした。

 ブレードアントの牙が、異様な風切り音を立てて鏡面のように輝いた。

「ほっ、と!」

 器用にバックステップでかわす。目標を見失った牙が地面に突き刺さった。

 視界を覆うような激しい土煙が沸き立った。

 蔵人は飛びこむようにして状態を傾けると両手で剣を握って水平に振るった。

 ガッ、と鈍い音と共に痺れるような手応えを感じた。

 六本ある脛節を見事に叩き割ったのだ。神経を削るような奇怪な雄叫びが耳を聾す。

「んげっ!?」

 間を置かずに巨大な腹部の毒針が真っ直ぐに迫ってきた。

 刺針が蔵人を貫く以前に勢いよく赤茶けた毒液が放出される。

 横っ飛びに転がって避けた。

 外套にかかった強力なギ酸がジュッと音を立てて表面を溶かす。

 鼻を突く臭いに顔をしかめた。

 続けざま、毒針の一撃が繰り出される。

 蔵人の長剣がうなった。名剣黒獅子は闇を引き裂きながら銀線を描く。

 斜めに流れた一撃は毒針の細い部分を存分に断ち切った。

 駆け抜けるようにブレードアントの背後に躍り出た瞬間、失策に気づいた。

「あ、ああ」

 蔵人が目の前から消失したことによりブレードアントの標的が背後に下げたメリアンデールに置き換わったのだ。

 離れた距離からでも、メリアンデールの顔面が蒼白になったのがわかった。

「逃げろ! メリー!!」

「ごめ、ひ、腰が抜けて、立てないです」

(畜生、畜生、畜生! 間にあえよーっ!!)

 蔵人はほとんど人間の力を超えた動きで高々と跳躍すると、ブレードアントの背中にしがみつく。

 嫌がった大アリは激しく上下に身体を揺すって蔵人を落とそうと躍起になった。

「ちょっ、待って……そんなに揺すったら、食ったもんが出ちまうだろうがぁああっ!!」

 白刃が直線を描いて流星のように走った。

 長剣は鋭い光芒を放つとブレードアントの頭部を後方から貫いた。

 体液が激しく噴出し、霧のように降った。

 大アリの巨体が崩れ落ちる。

 下方にはまだすくんで動けないメリアンデールの姿が見えた。

 いかに蔵人といえども攻撃と同時に真下の少女を救うすべはない。

 これほどの重量をモロに浴びれば無傷ではすまない。

「くっそっ……」

 身をよじってブレードアントの間に身体を入れようとする。世界がコマ送りに再生されていく中で、視界の隅に動く影を捉えた。

「へ?」

 轟音と共に大アリの巨体が崩れ落ちた。

 蔵人は全身を強く打ち付けて、一瞬意識が遠のいた。

 アバラがまとめて何本かへしおれる音を真っ白になった意識の外で聞いた。

 喉元に熱い血の塊がせり上がってくる。

 眼球から涙がにじむと同時に世界が茶色の土と砂の破片で塗りつぶされた。

 蔵人は自分の身体を入れ替えるのに成功しブレードアントの頭部と地面に挟まれたのだ。

「んぎぎぎっ! どっせい!!」

 全力で力をこめて、死骸を腹の上からどかす。

 それよりも心配なのはメリアンデールである。

「メリー!!」

 蔵人が叫びながら顔を上げると同時に目の前の光景が飛びこんできた。

 メリアンデールを抱きとめている少年は十五、六くらいだろうか、ほとんど完璧といっていいほど瑕疵のない容姿をしていた。

 品のいい茶色の髪を下ろしている。

 つやつやとしたきめ細かな白い肌はシミ一つなかった。

 整ったやや濃い目の眉はキリリと引き締められている。

 わずかに開いた口元からは真っ白な歯がのぞいていた。

 あきらかに上質と思われるオリーブ色の外套を纏っていた。

 腰には細身のレイピアを差している。美少年と呼ぶにふさわしい顔つきであった。おまけにちょっと、ジャスティン・ビーバーに似ていた。

 蔵人は一瞬で劣等感の虜になった。

 周りに無数の人間が群がっているのが見えた。少年の仲間なのだろうか、彼らの持つランタンのお陰で洞窟内は真昼のように明るくなっていた。

 ――まあ、あれだ。この少年がメリアンデールを助けてくれたのだろう。とりあえず、礼はいったほうがいいのだろう。いったほうがいいんだよな?

 だが、無慈悲にも蔵人が自問自答を繰り返しているうちにイベントは進行していた。

「大丈夫かい?」

「あ、はい」

 少年は声まで聞き惚れるほど涼やかだった。

 メリアンデールは呆然としながら少年の顔を見つめている。傍から見れば美男美女が揃った一枚の芸術画のようだった。そんな作られたような光景が焦りに拍車をかけていく。

「あー、あんた。とりあえず礼を」

 蔵人のまったく誠意のこもらない言葉がぶつんと断ち切られた。

 ジャスティンもどきはメリアンデールの顔を引き寄せると、自然とも思われる仕草でメリアンデールの唇を奪ったのだ。

「ん――!?」

 電流を浴びせられたようにメリアンデールは少年の胸を突き放した。

「はは。照れ屋だね、まったく」

 少年は悪びれもせずはにかみながら白い歯を見せた。周りが追従するように邪気のない笑い声を立てた。

 メリアンデールは怒りよりも困惑を色濃く見せて、呆然とその場に立ちすくんだ。

 少年はひとしきり笑い終えると、はじめて蔵人の姿を見とがめて眉をクイッと歪めた。

「いやあ、そこの君。お礼の言葉なら結構だよ。もう、お先に頂いたからね」

「あ――」

 脳内で無数の線が一気に断裂した。

 頭の奥で白い閃光がパッと飛び散ると、目の前の視界がぐにゃりと奇妙に歪んだ。

 鼓動が急激に激しく打ち鳴らされる。喉奥にこみ上げてきた血の塊で呼吸が止まった。

 いま、こいつは何をした?

 蔵人の意識から理性がすっと遠のいていく。溶けたバターのような視界がぐいぐいと狭まってきた。

 痛みが消え去る。

 恐ろしいほど凶暴な血が全身を駆け巡る。

 自然に足が前に出る。

 蔵人の様子に気づいたメリアンデールが口をぱくぱく開閉させた。

 目の前の少年の胸ぐらをつかみ拳を振り上げる。

 それでも、少年はにやにや笑いを止めなかった。

 こいつ! いますぐそのお綺麗な顔を泥細工みたいにグチャグチャにしてやる!!

「やめてっ、クランド!!」

 振り上げた右腕にメリアンデールがしがみついてきた。

 なんでだ、なんでだ、なんでだっ!! なんでこんなやつをかばうんだっ!

 懇願するような彼女の瞳を直視し、やり場のない怒りがますます燃え上がった。

 理解ができない。

 怒りが多方向に発射される。

 メリアンデール共々殴りつけてやりたい錯覚に陥った。

 邪魔するな、邪魔するな、邪魔するなっ!

「はなせよっ!! コイツ、ふざけやがって!!」

「いいからっ、やめてよーっ!!」

「だから、なんでだよっ!!」

「その子は、私の弟なんですよっ!!」

「――へ? ええええええっ、うそおおおっ!?」

 蔵人は下唇をひん曲げると顔を歪め絶叫した。






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