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ソロダンジョン Q.どうして正体を隠すんですか? A.いいえ隠してません、気付いてもらえないだけです。  作者: ハマ
第三幕

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45/58

10

 校長室での話を終えると、かなりの時間が過ぎていた。

 急いで教室に戻ると、みんなは帰りの準備をしているところだった。


「あっ、戻って来た。遅かったな、そんなに話し込んでたのか?」


 高倉君が心配そうに尋ねて来る。

 しかしその視線は、天音の隣にいるサクラに向けられており、どうにもサクラの魅力に惹かれてしまっているようである。


 職員室の前で聞かされた話。

 サクラに惹かれるのは、その理由を知っていたとしても、抗える物ではない。

 現に、花塚や他の人にも説明しているという。

 それでも、態度が変わる者は一人としていなかったそうだ。


 だから、普通の高校生が耐えられるはずもなかった。


「うん、結構話したかな……どうしたのぷっちょ?」


「え、あ、うん……」


 何故か、もじもじしているぷっちょ。

 いつもなら嫌味か馬鹿なことを言って来るのに、歯切れが悪い。

 それに、サクラにチラチラと視線を送っており、お前は乙女かと言いたくなる。


 というより、朝の強気なぷっちょはどうしたのだろう。

 女子の集団に立ち向かっていく姿は、まるで勇者のように見えたというのに。


 そう訝しんでいると、サクラがちょいちょいと制服を摘んで来た。


「天音様、この方々は?」


「あっ、ごめん紹介するよ。こっちの爽やかな人が高倉君、こっちの小太りなのがぷっちょ、僕の友達だよ」


 そう紹介すると、サクラは頭を下げて。


「改めて初めまして、神楽坂サクラと申します。高倉様、ぷっちょ、ぷっちょ?様? あの天音様、ぷっちょ様はそのお名前でよろしいのですか?」


 サクラはぷっちょで本当に良いのかと、聞いて来る。

 別に本名でも渾名でも、ぷっちょの場合はぷっちょに落ち着くので、どちらでもいいと思うのだが、ここはちゃんと本名を伝えておいた方が良いだろう。


 だから口を開こうとしたのだが、大きな声で遮られてしまう。


「恵比寿っ! 恵比寿幸太です! よろしくお願いします!」


 そう叫んだのはぷっちょだった。

 ぷっちょ改め恵比寿幸太は、サクラに向かって頭を下げて手を伸ばしていた。

 その姿はまるで、告白した男子のようだった。

 付き合って下さい、お願いします! という副音声が聞こえて来そうなほどの、青春をしている男子の姿がそこにはあった。


 しかし、これに気付かないサクラは、その手を伸ばしてしまう。


「恵比寿様ですね、よろしくお願いします」


 そう口にして、手を取るサクラ。

 そして、ぶるっと震えるぷっちょ。

 しかし、ぷっちょは、それから動かなくなってしまった。


「……ぷっちょ、どうかした? あっ」


 そう天音が心配して体を揺すると、ぷっちょの体は横に倒れてしまった。

 どうやら、握手をしたまま気を失ってしまったようである。

 だけどその顔は、とても幸せそうだった。


 結局、ぷっちょはどこまで行ってもぷっちょだった。



⭐︎



 あの後、サクラは親睦会という名目を掲げた女子の集団に連れて行かれ、天音と高倉君の二人で、ぷっちょを保健室に運ぶハメになってしまった。


 よっこいしょと保健室のベッドに寝かせると、二人はぷっちょを置いて帰宅した。



「そうなんですね……、その、期間とかは分からないんですか?」


 それから今は、ギルドで榊原と会っている。

 しばらくの間、指導出来なくなるという旨を説明すると、かなり接近されてしまった。


「うん、あの人の気分次第だから、なんとも……」


「私も一緒にっていうのは……」


「ごめん、それは無理だ。いつ襲って来るかも分からないし、あの人を相手に、誰かを守る余裕も無いから」


「そう、ですよね……。すみません、我儘言って……」


 きっぱりと断ると、榊原はシュンとしてしまった。

 悪いことしたなとは思うけど、こればかりはどうしようもない。

 一緒にいたら、最悪、榊原が死ぬ。

 それは、どうやっても回避したかった。


「終わったら連絡するから」


 天音の言葉に、コクンと力無く頷く榊原。


「……そうだ、これを機会に、星奈さんのパーティと連携を取る訓練に当たるっていうのは……」


 その提案に、「考えておきます」と小さな声で答える榊原。


 天音は、榊原が頑張って訓練に励んでいるのを知っている。

 指導をしている時は、いつも真剣で、少しでも強くなろうと努力しているのを知っている。


 だから、申し訳ない気持ちになってしまった。だから、


「……榊原さん、今日はもう訓練も出来ないからさ、食事にでも行こうか」


 謝罪するのも違うので、食事を奢ることにした。


「っ⁉︎ はい、行きます!」


 ぱあっと明るくなった榊原は、学校では絶対に見ない明るい表情をしていた。


 物で釣ってしまったが、それでもこの表情が見られたのなら、悪くはなかったなと思ってしまった。




 食事は普通のレストラン、で行おうと思っていたが、話に聞き耳を立てていた受付のお姉さんに「今からだったら、ここがオススメ。前と同じホテルだから、場所分かるよね? こっちはリーズナブルだけど、居酒屋みたいな雰囲気だからやめといた方がいいよ」と聞いてもいないのに教えてくれた。


 あと榊原の耳元で、「福斗君、押しに弱そうだからいざという時は、勢いでおし……」という意味不明なアドバイスをしていた。



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― 新着の感想 ―
ぷっちょのフルネームは既出?初出?まぁどうでもいいか どうせ秒で忘れる ブタゴリラはブタゴリラ、ぷっちょはぷっちょでオケw
一気読みしたけれど、主人公の周りそれも大人にまともなやつ全然いないな、まともなのハクロと支部長くらい? お国守るためです、あなたが重要人物です、だから鍛えます、あなたの事情は知りません、あとうちの孫も…
正直この弟子ヒロイン面倒なだけで魅力を全く感じない 他のヒロインと付き合ったりイチャイチャしてる所を見せつけて、どうなるかが見ものかな? 弟子ヒロインに期待する部分はそのくらいかも
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