06.捕まる時は
1987年 7月28日 14:09
エミィ・モロガン救出4389ドル
馬を馴らし風を切ってゆくケニー。
ここ数日、エミィの目撃証言と、カオス・ロリッタの目撃証言が少なく。
心が無いケニーでさえも、ナターシャによる罰、つまり死を恐れていた。
* * *
無造作に生えた短い髪の毛が、カオスだという事をエミィに印象付ける。
逃亡生活が始まってから、約20日が過ぎ去った。
この頃のエミィは既に姫という鎧を捨て、カオスの自由さに惹かれ初めていた。
「カオスーーーー。」
「ん?どしたー?」
「魚採れたよーーー。」
「えっまじで?エミィすげーじゃんっ」
人生初の魚釣りにも挑戦し。
こんな笑顔が待っている所へと走る。
「2匹!?こんなに?」
「だって1匹だったら、困るでしょ?」
「エミィ・・・・。」
「さっカオス!!!お料理しましょ。」
「お料理っつっても、薪だけだぞ?」
「それでもっ!!!私にとってはお料理なの。」
野宿生活に慣れないエミィを此処まで守ってきたのは、カオスだ。
暗い気持ちだったカオスを、守ったのはエミィだ。
お互いがお互いを支えあい。
二人は今日まで生きて来る事が出来た。
嬉しい事があれば、二人で分かち合い。
二倍にした。
哀しい事があれば、二人で分かち合い。
半分にした。
それは一人では決して叶う事のない事。
王宮に居ては。
どんなに勉強を強いられようと、こんな気持ちを知る事は出来ない。
温かくて、胸が安らぐ気持ち。
金では買う事の出来ない。
貰う事の出来ないその気持ちを、エミィは知った。
『ッタッタッタッタ』
「ん?何この音。」
「まさかっ!!!カオス逃げましょう!!!」
「どしたんだよエミィ。」
「今の音。王宮で聞いた事があるの。きっと王宮の者が私たちを探そうと、来たのよ!」
「エミィ。行こう!!!」
気づいた時には。
既に遅し。
二人の周りには、多くの兵士とケニーが居た。




