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城出姫の旅  作者: のん
止血拒否の行進
29/30

29.いつだって終わりは唐突


崩れおちる青、青、青。

壊れてなくなっていく色、色、色。


モノクロのセカイが幕を開けて、絶望ワルツを奏でよう。



「次元が……移動しているわ」

「メリー、どうなっているの!?」

「アランが死んだことにより、英雄が生贄となった。

 これですべてが正常化される。

 これで……ぜんぶ終わるのよ」



地が揺れる。

全人類だけじゃなくて、セカイまで狂ったように。暴れだす。

なにもできない人間。

なにもできないもう一人の英雄。



「正常化されても……なにも解決しないわ」





    *



私が愛していた人の顔をもつ男は、いまだ笑い続けている。

そろそろ時間だ、そう呟きながら。赤く光る瞳を愛しそうに触っていた。


「エミィ、メリー。君たちとも、お別れのようだ。

 選択肢は二つある。

 俺に記憶を消され、夢遊病者のようにセカイをうろつきながら生きるか。

 それとも……死ぬか。

 アランを倒した君たちには……選択権をやろう。

 さあ、選べ」


「どちらも選ばない。

 ただ、死ぬならあなたと一緒」


恐ろしい……この男に流れる血は、カオスと同じものだ。

一つ一つの繊維も、構成されている全ての感情も。

カオス自身。


同じ存在が殺し合い、自らの命を削っていく。



「馬鹿だな、ハハ。

 もし本当に君がその選択を選ぶなら――…。




 容赦なく殺す」




赤い禁断の果実のように美しい彼の瞳は、輝きを増していた。

右手にはナイフが、左手には銃が。



ここは…。


この城はきっと、私とハラン。どちらかの墓となる。



さあ、最期のワルツを踊りましょうか。




    *




半狂乱に城を駆けめぐる。



逃げろ、兎に角。何を犠牲にしてでも、生に依存しろ。

逃げるんだ、じゃなきゃ……。




殺される。



真っ赤に染まりはてる美しいドレス。

最期の舞踏会には相応しい。

だけど。



殺されるのはどちらかしら、ハラン?それとも……私?




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