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第31話 シェーナとサリーニャ②

 シェーナは鍋に魔法で火をかけると、コンソメ、ご飯、水を入れてほぐしていく。

 いい具合に煮たら、そこに牛乳を加えて煮詰めていくと粉チーズと塩を適量に入れていく。

 皿に盛り付けていくと、コショウをかけてチーズリゾットを完成させる。


「お待たせ。今日はリゾットを作ってみたよ」

「チーズの香りが食欲をそそるね」

「本当はそこにハムやベーコンを加えたいところだけど、異世界にないからね」

「えっ? エルフの酪農業者が作っているわよ。最近は市場にも流れ始めているし、『森の聖弓』に依頼すれば割と簡単に入手できるわよ」

「そうなのか……」


 それどころか家畜として豚も飼育されているから驚いた。

 森の加護を受けているエルフは手先が器用で農作物や穀物を育てることに特化している。最近になってエルフの集落に人間がノウハウを学びに訪れることもあると言う。


「でも普通に美味しいわよ。料理や剣の腕も抜群な女騎士様なら、良いお嫁さんになるわよ」

「お嫁さんね……」

「君の場合は耳が痛いか。まあ料理に関しては、あの人妻ダークエルフと組んだら間違いなく繁盛すると思うよ」


 サリーニャは皿のリゾットを口に入れながら、太鼓判を押してくれた。

 料理を褒めてくれるのは嬉しいが、あまり気を抜いて変な事を口走ったら録音機器でサリーニャを別の意味で満足させてしまうのは避けたい。可愛らしいエルフの少女が食事をしているのに、残念な言動がなければとシェーナは切に思う。

 サリーニャはチーズリゾットを食べ終えると、冷蔵庫のことで確認を取る。


「冷蔵庫は明日にでも届けられるから、設置場所は決めてあるの?」

「ああ、すぐそこの台所に設置するつもりだ」

「わかった。朝方に設置業者が運びに行くからね。それと保証の問題だけど、一年以内に不具合で故障したら無料で修理を引き受けるわ。冷蔵庫と一緒に保証書も渡すから、無くさないで保管してね」

「何だか家電量販店みたいな対応だね」

「これぐらいのサービスは基本よ。もっとサービスして欲しかったら、女騎士様や人妻ダークエルフの強気なお言葉が必要になるわ」


 シェーナはこれ以上の過剰なサービスは結構と押し退けて、サリーニャは無念そうな顔をする。

そんなやりとりをしていると、サリーニャは腕を伸ばして工房へと戻り、最後の仕上げに取り掛かる。

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