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史実編 26話

翌日、諸将が秀吉の本陣に集められた。


「これより、策を示す。策は中入!別働隊を三好信吉が率いて岡崎を目指す!」


「ははっ!お任せくだされ!」


事前に話を聞いていたのか信吉は威勢よく立ち上がる。


「いやお待ちくだされ。ここは尾張・三河。相手は地の利を生かせて確実に奇襲をしかけてきますぞ!」


すぐに信澄は反対した。

秀吉の謀略はともかく池田・森らが討死する事は知っているからだ。


「故にこちらもそちらに詳しい者を加える。1番隊、池田勝入!」


「おう!」


指名された池田勝入が応える。

娘婿に漆をつけて更に権力を増そうとしているのだろう。


「次に森武蔵守!」


「はっ!」


こちらは羽黒の戦いでの汚名を晴らさんと躍起になっている様子だ。


「そして堀左衛門督及び長谷川藤五郎。お主らは孫七郎を補佐してやってくれ」


2人は自分の名を呼ばれると静かに頷く。


「残りの者は中入隊が三河に入り次第動くぞ。連中の篭もる小牧山城を一気に攻め落とす。異存は無いな?」


信澄は反対したかったが空気が一気に中入の流れとなってしまった。

かつては一門としてごねることが出来たが今の信澄は羽柴軍の一武将である。

改めて自分の立場が下がったことを彼は痛感した。


「それでは各々、抜かりなく」


こうして秀吉の一言で軍議は終わった。


これを受けて即座に池田恒興ら中入隊は出撃。

各地に中入軍迫ると喧伝しながら進軍した。


そしてこの知らせはすぐに小牧山城の徳川家康の元に届けられた。


「なるほど、三河我らも舐められたものよな」


既に爆発しそうな本多忠勝や井伊直政を横目に家康は呑気に薬を調合している。


「私は10万石賭けられております。私が囮となり彼奴らの相手を致しましょう」


「うむ、頼むぞ小平太。しかしお主だけでは足りぬであろう。大須賀康高、水野忠重、丹羽氏次を着ける」


指名された3人が立ち上がる。


「殿、もしも連中が岡崎を目指すならば確実に我が岩崎城を通るでしょう。我が手勢にて釘付けに致します」


そう言って丹羽氏次が前に出る。


「いや、しかし丹羽殿の岩崎城に残るのは僅か300程の守兵ではありませぬか……。確実に落とされますぞ」


そう酒井忠次が言うと氏次は首を縦に震る。


「仰れる通りにございます。しかし退路がないと分かれば我が弟も含めて皆、死兵となって戦いましょう。少しでも軍勢に打撃を与えられるはずにございます」


「うーむ、その心意気や見事!殿、ここは丹羽殿の提案に乗りましょうぞ」


井伊直政が言うと家康も頷く。


「忝ない。お主の忠義、あっぱれなり。戦が終われば必ずや報いようぞ」


「有り難きお言葉!殿の御為とあれば弟も喜んで命を投げ出しまする。早速使者を送ります」


かくして徳川軍により迎撃作戦が始まった。

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