48話
歴史オタクが戦国時代の土佐にタイムスリップしたら長宗我部家に天下を取らせることは出来るのか?
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新作ですよろしくお願いします。
「我こそは信州真田家が当主、真田安房守昌幸!命の惜しくないものからかかって参れ!」
昌幸は今まで聞いたことの無いくらい大きな声を上げると六文銭の旗が付いた槍を構えた。
「ええぃ!諦めの悪い!全軍かかれぃ!」
高虎が命じると3人の兵士がいっせいに斬り掛かる。
しかし3人ともなぎ倒されてしまった。
やはり強いッ……!
「少将殿!ここは俺にお任せくだされ!」
そう言って三介がやって来た。
甲冑は返り血で赤く染まり刀はボロボロだった。
ここまで戦うとは……。
「いや北畠宰相殿はここで待たれよ。しばらく様子を見る。」
そうは言ったが決死の突撃を繰り返す真田勢は強かった。
前線の高虎は崩され続く信兼もあっさりと敗走した。
そして昌幸の部隊が俺の本陣を捉えた。
「津田少将殿!この天下分け目の戦で決着を付けようではないか!」
昌幸が足を止めて言う。
「殿、なりませぬぞ。今や殿は西国の主なのです。」
三成が止めようとする。
しかし俺は……俺は昌幸という好敵手と決着をつけたい……!
「すまん、今回は俺のやりたいようにやらせてもらう。」
俺はそう言うと薙刀を取り馬に跨る。
「久しいな安房守!俺もそなたとの再戦を今か今かと待ちわびていた!お手合わせいたそう!」
俺がかけ出すと昌幸もかけ出す。
そして薙刀と槍の刃が混じり合い閃光が光る!
お互いが反動に姿勢を乱しその隙を俺は逃さない。
ガンッ!
「10年前にも経てば年の差が出てきたか……。」
「まだまだ真田はこんなもんじゃないだろ!」
槍で防ぐ昌幸を押しのけた俺はさらに上から薙刀を振り下ろす。
「ムンッ!」
昌幸はそれを左手で受け止めた。
辺りからは化け物かと恐怖の声が漏れる。
しかしこの程度で怖気付く訳には行かない。
俺は直ぐに薙刀を抜くともう一撃喰らわせた。
次の一撃は揺らぐ昌幸の肩を斬り裂いた。
これで左手は完全に使えなくなったはずだ。
「ふぅ……まだやるか?」
「左手を潰して勝った気になるなよッ!」
昌幸はそう言って笑いながら俺の腹に槍を突き刺した。
寸前のところで交わしたと思ったが若干抉られてしまった。
体に激痛が走る。
しかしそれ以上に好敵手との決着をつける喜びに痛みなど直ぐにすっ飛んで行った。
「そんなわけが無いだろ!」
俺はその後何度も何度も薙刀を振り下ろした。
その度に昌幸は防ぐ。
何度も何度も……。
そのうちに戦の決着は着きつつあった。
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伊吹山より東の本多忠勝勢はついに壊滅。
残る榊原康政は一気に攻めかかる三万の大軍を一手に引き受けた。
そしてその彼にも限界が訪れた。
「平八郎……殿……ッ!必ずや……必ずやお逃げくだされッ……。」
そう言うと康政はついに果てた。
北条軍は壊滅し伊達政宗と長宗我部信親の銃撃戦は筒井順慶、細川藤孝らの参戦により伊達勢が壊滅。
政宗は僅かな家臣を連れ撤退を始めた。
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そして徳川家康は……。
「三郎様……ッ!三郎様……ッ!なにゆえ、なにゆえ竹千代に勝利を恵んで下さらぬ!なにゆえあのような下郎にッ!三郎様……ッ!」
「殿、お逃げくだされ!」
本多正信がそう言って家康を引っ張るが彼はビクとも動かない。
ただただ天に悲痛な叫びをあげるだけだった。
「ワシはッ!ワシこそがッ!三郎様の跡を継ぎ新しき世を作るものであるぞォォォォォォォッ!」
なんとか泣き叫ぶ家康を井伊直政が引き剥がし馬に乗せることに成功した。
しかしこの後家康が再起することは無かった……。
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俺と昌幸は何度斬りあったか……。
既にお互い修羅と化し体中が血で染まっていた。
しかし年齢の差というものがある。
俺よりも10歳近く年上の昌幸にもついに隙が生まれた。
そして俺はそれを逃さなかった。
薙刀が昌幸の腹部をえぐり昌幸は馬から崩れ落ちる。
俺は無心でそれを受け止めた。
「ふっ。最期に最高の戦いができた……。感謝するぞ津田の小僧。」
「もう30だよ。俺も最後にあんたと斬りあえて良かった……。」
「そうか……。これを源次郎に……。」
昌幸はそう言うと血だらけの書状を懐から取り出した。
そこには確かに源次郎宛と書いてある。
「承知した。必ずや渡しておく。」
「うむ、俺は少し疲れた。またいつか……長篠の時のように……。」
「ああ、約束だ。」
それを聞くと昌幸は満足そうに微笑むと目を閉じた。
「さらば好敵手よ……。」
そう言うと俺も静かに目を閉じた。
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こうして天下分け目の関ヶ原の戦いは織田軍の勝利に終わったのだった。
そしてその後まもなく織田家による天下統一が成し遂げられることになる。
しかしその過程で多くの命が失われていったのである。




