44話
めっちゃ遅れた感ありますけど新しい生活を歩む人を私は応援しています。
信濃真田本城 真田昌幸
「父上、こちらが徳川殿より届きました。」
「見せよ。」
息子の信幸から渡され書状を見る。
そこにはこれより織田家を討ち新たな世を作ること。
そのためには我々の力が必要なので家臣の本多忠勝の娘を信幸に嫁がせて信濃の国衆をまとめあげて欲しい、それが成れば恩賞は望み次第とある。
これは……つまり謀反を起こすということか。
しかも北条、佐竹、伊達、最上、蘆名、相馬、果ては南部や秋田まで同調しているらしい。
東国の諸大名は普段から争いあっているはずだが家康がまとめあげたというのか……。
いや、家康は優れた将だ。
ありえない話ではない。
とにかく信濃の国衆を集めなければならない。
そう思っていると矢澤頼綱がやって来た。
「殿、曽根下野守様がお越しです。」
「なに、曽根が!?すぐに会おう。」
曽根はワシの旧友だ。
今は徳川に仕えていると言うがやはり……。
「どうした曽根。お前から来るなんて珍しい。」
「ふん、主君の命令だよ。徳川三河守様からのな。」
「ワシのところにも書状が来た。三河守殿は誠に織田を倒すつもりなのか?」
「ああ、勝利した暁には穴山様のところの子を武田家の当主として再興してくださる。」
「なっ!」
守れなかった武田家を……。
勝頼様との約束を……。
しかしそれが徳川に成し遂げられるというのは……。
「四郎様もどんな形であれ武田が復活すれば喜ばれるだろう。真田よ、お前の力が必要なんだ。」
「……、分かった。徳川殿にはよろしく伝えておいてくれ。」
徳川家康は四郎様の仇……。しかし信玄公はあの者の才を認められていた。
ならばワシの才覚、奴に預けてみようでは無いか……っ!
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出羽 米沢城 伊達政宗
徳川家康から送られてきた朱印状。
そこには織田家を打倒すれば本領に加え四国のうち三カ国を与えると書いてある。
それに佐竹も相馬も蘆名も同調している。
いくら俺の才覚とはいえこれらを一気に相手にするのは難しい。
何より都から遠く離れた奥州と四国ではこの左目で見えるものを変わってくるだろう。
「小十郎、家康は本当に約束を守ると思うか?」
「徳川様は律儀のお方、必ずや。」
俺が最も信用する男、小十郎はそう答える。
なら信用できるものか……。
あとは……。
「父上に会いに行くぞ。」
俺は二ノ丸にいる父上の元へ足を運んだ。
「藤次郎、ただいま決断致しました。」
「うむ、言え。」
「徳川殿と共に立ち上がり織田家を打ち倒します。」
「よう決断した。それでこそワシの倅じゃ。武運を祈っておるぞ。」
「ははっ!」
肩を掴む父上に俺は精一杯の声で応えた。
必ずや父から譲り受けた伊達家を大きくしてみせる……。この右目に誓ってッ!
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出羽角館城 戸沢盛安
徳川家康からの書状、そこには筑後を与えると書いてある。
所領の大きさでは今の数十倍だろうがはっきり言って魅力は感じない。
そもそも今や織田家は西国をまとめ上げ天下に最も近い。
それに対してこちらは烏合の衆……。
「皆の意見を聞きたい。好きに言うてくれ。」
俺は眼前に並ぶ家臣に問いかける。
身分の上下は関係なく優秀なもの達を集めた。
「恐れながら申し上げます。我らは織田方に付き、安東を足止めすべきかと心得ます。」
「左様、烏合の衆に加わり負ければ意味がありませぬ。ここは織田方に!」
かねてより交を通じていた織田家を推す者ばかりだ。
老臣も足軽も皆織田家と申しておる。
ならば選ぶ道はひとつ。
「よし、我らは織田家に着く!上様のために何千何万と軍勢が押し寄せうが耐えてやろうぞ!」
俺がそう言うと城内が湧き上がった。
やるしかない、覚悟を決めるぞッ!




