41話
明後日から学校なので連日更新はちょっと厳しいかもです
備中高松城は開城しそこに俺たち四国勢も入った。
2週間後、殿……いや上様が到着され論功行賞が始まった。
「まずは四国、長宗我部宮内少輔は前に。」
「ははっ!」
元親が前に出る。
「此度の戦における毛利家の説得に免じ土佐と伊予は安堵する。されど人質は提出し家督を嫡男の弥三郎信親に譲ること。弥三郎は十兵衛の娘を娶れ。然るべき官位も与える。」
「ははっ!有り難き幸せにございます。」
なるほど、長宗我部信親は俺の義弟になる訳だ。仲良くしていきたいね。
「次に明智日向守、津田阿波守。」
「はっ!」
呼び出された俺達2人は前に出る。
「日向守には丹後を加増する、細川兵部には替地として阿波と讃岐のうち3万石を与える。」
阿波は18万石で合わせれば21万石。今の細川の石高はせいぜい10万石だからこれは加増だし素直に喜んでいいだろう。細川自身も満足しているようだ。
「阿波守には摂津を加増、それに加え左近衛少将に推挙する。」
「有り難き幸せにございます。」
俺は頭を下げる。
上様はあくまで安土を本拠とするつもりか。
「残る讃岐は福富に任せる。四国方面の奉行として検地などを主導せよ。」
福富は特に今回の戦で武功をあげた訳では無いがこれまでの功績とその能力から見れば当然だ。誰も文句は言わなかった。
「次は中国。羽柴筑前守は前に。」
「ははっ!」
「長きに渡る中国征伐での功績はあっぱれなり。その功績を称え播磨より安芸、備後を与え与力の小一郎に出雲、与力の宮部継潤に伯耆を与える。」
実質4カ国だ。これは少しオヤジ辺りが嫉妬しそうだが石高がまだ分かっていないのでなんとも言えない。
「宇喜多八郎は備前と美作半国を安堵。残る美作半国は久太郎が支配し中国奉行に命ずる。」
中国の取次は堀久か。
まあサルと親しいし妥当だな。
しかしここで不安な思いをしてるのは勝左と高山、中川。それに毛利輝元もいる。こいつらはどうなんの?
「次に池田勝左衛門、播磨1国を与える。高山右近は因幡、中川清秀は但馬に入り勝左の与力となれ。」
3人とも軒並み加増。
土地が余ってもしょうがないからね。
「最後に毛利右馬頭!」
一気に場が凍りつく。
どのような沙汰が下されるのか皆が注目した。
「これまで散々織田家を苦しめてくれたな……。」
「そっ、それは……。」
「しかし降伏の際の手際は見事である。防長2カ国を安堵する。」
「おおっ!」
周りから感嘆の声が漏れる。
寛大な処分だ。
俺もせいぜい1カ国貰えたらマシだと思っていたが仲介して良かったよ。
「有り難き幸せにございます……!」
輝元が涙ながらに感謝する。
「代わりに人質は提出、九州では先鋒として戦ってもらうぞ。最後に石見だがこれはワシの直轄とする。」
石見銀山あるからね。
特に誰も文句を無い素晴らしい配置だ。
誰一人不平不満を漏らさなかった。
次は九州征伐……と言いたいところだが島津が狙いを龍造寺に変えたとか秋月とかいう小大名が勢力を拡大しているとか言うのでよく分からない。
まず特に九州征伐の大義名分が無いのでとりあえずは皆、新領地の安定のために所領に戻った。
さて摂津は……。
勝左らがちゃんとしておいてくれたおかげで受け継ぎは特に苦労しなかった。
摂津は35万石、今の所領と合わせ俺の所領は60万石を超えた。
サルが52万石が明智殿も46万石(2人とも与力抜き)なので俺は織田家でもオヤジに次ぐ大領を手に入れた。
「殿。此度は2カ国の太守への出世、誠におめでとうございます。」
最前の高虎が言うと家臣一同が頭を下げる。
随分と家臣も増えたな。
「ありがとう。高島の城代は今まで高虎に任せていたがこれからは庄九郎を入れ補佐役として渡辺と堀田を入れる。息子のこと頼んだぞ。」
「ははっ!」
2人が頭を下げる。
息子を高島に送る理由は安土に近いからなのと上様の嫡男の三法師様の傍に置いておきたいからだ。
最悪無能でも当主の幼なじみならまあマシだろう。(三法師様が有能な場合に限る)
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さて七兵衛が大大名となったもののそれを面白く思わない輩がいた。
信孝である。
讃岐においては長宗我部家に捕縛され信忠には叱責され信雄には小馬鹿にされ家臣たちには白い目で見られている。
石高も七兵衛の半分以下で明らかに格落ちしている。
元はと言えば8年前に三好康長が七兵衛により殺されたりしたのが原因だがそんな事は彼の知るところではない。
「ええぃ……七兵衛め。覚えていろよ……!」
信孝は持っていた筆をへし折って言った。




