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31話

河内を出た俺の軍勢は滝川や蜂屋の軍勢と合流し一万五千の大軍で茨木城を包囲した。

城主の中川清秀は日和見気味な性格なのでほかの城の人間が寝返ればすぐに降伏するだろうと俺は睨んだ。


「高槻城の高山右近と中川清秀は親しい間柄だ。高槻を落とせば茨木も落ちるだろう。」


「ご尤もです、津田殿。高山はキリシタン故に宣教師共に説得させればよろしいかと。」


滝川が賛同すると蜂屋も頷く。


「早速、伯父上に宣教師に説得させるよう命じるようにお願いする。それまで全軍勝手な行動は慎むこと。」


どうせ高山右近も宣教師の命令なら言うことを聞くと高を括っていたがこれがまた難航した。

伯父上と高山の要求がなかなか一致しないのである。


結局、両者の要求が一致するまで半年近くかかりやっと高槻城が開城すると予想どおり茨木城も開城した。


「中川瀬兵衛清秀、この茨木城と兵二千を上様に差し出し身命を賭して上様にお仕え致します」


髻を落とした清秀が平伏して言う。

滝川と蜂屋は白い目で見ていたがまあ俺はどっちでも良いのでとりあえず許し旗下に加えた。


「私が有岡まで案内致します。摂津守のことはよく知っているゆえお任せくださいませ。」


「承知した。先鋒はそなたに任せる。」


清秀はそう言われと嬉しげに陣から出て行った。


「津田殿、あれは信用なりませんぞ。」


滝川が怪訝そうに言う。


「まあまあ、荒木の所の人質のことを考えれば気が気でなかっただろうしむしろ英断だよ。」


「裏切った時には我らが始末します。次鋒はワシにお任せを。」


「分かった、蜂屋に任せる。で、南から侵攻中の原田はどうなってる?」


「それが原田殿が病に倒れたとか。」


滝川のひとことで俺はひっくり返りそうになった。

は?わざわざ天王寺で生き延びるようにしたのになんで?

訳わかんねえんだけど。


「申し上げます!摂津南部より侵攻中の原田勢、敵に包囲され壊滅!原田殿以下諸将が討ち取られたとの事!」


「はーーーーーーーー?」


「どうやら原田勢の一部の雑賀衆が敵と内通していようで……。」


アホくさ、そうなるともうどうしようもない。

歴史の修正力か!


「承知した。上様には伝えたのか?」


「まだです。到着されてから伝えた方がよろしいかと。」


伝令が俺にやってほしそうな顔で言う。


「えっ?俺が?」


「たしかに一兵卒が言って激怒されるより津田殿が言われた方が良いですな。」


「ええ……仕方ねぇなぁ。」


「申し上げます!上様率いる軍勢、荒木軍先鋒を破り有岡城対岸まで進まれました。すぐに津田様らも合流せよとの事です!」


「承知した!直ちに向かう!」


こうして俺は中川清秀を先鋒に有岡城に進軍した。

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