27話
えー、このままじゃ私立うんこかすDD大学へ進学できない!?
信貴山城 松永久秀
いよいよワシが天下を取る時が来た。
否、天下を乗っ取る時か……。
毛利は織田の水軍を叩きのし顕如は負けたとはいえ未だに織田軍を摂津に釘付けにしている。
そして越後の龍、上杉謙信も動いた。
新たなる織田包囲網の構築にワシは成功した。
「松永殿、ことの詳細についてどのようであるか、思うところをご説明されよ、一切をお耳に入れればお許しが出るでしょう」
驚いたのかワシの才能を惜しんだのか信長は堺の松井友閑を使者に送り込んできた。
「残念ながらワシは天下が欲しいのじゃ。それゆえ降伏はせぬ。」
「なっ、なんと愚かな!」
「ふっふっふ。お前がどう思うかは勝手だが信長は分かってくださるだろうなぁ。ワシと信長は似ておるゆえ。」
「ぶっ、無礼者!この事、上様にお伝えするぞ!」
そう言って松井は顔を真っ赤にして帰って行った。
原田もアレも大したことは無い。
されど信長の甥の津田信澄とその家臣の藤堂なんとかとか言うのは厄介じゃな。
特に津田の方は周りが見えていないようで全てを予見しておるらしい。
まあアレがいずれ織田家を乗っ取るならそれも良し。
そう思いながら笑うワシの元に倅の久通が走ってきた。
「父上、申し上げます!阿波にて三好長治殿、お討死!」
「まあ、あの小物では長くは持たんだろうからな。」
三好長治は亡き長慶様の甥だが器が小さくどうせ家臣にでも裏切られたのだろう。
「しかも討ち取ったのは守護の細川真之です。」
なに……?力の無い守護だと?
それを聞いてワシは一瞬混乱した。
しかし直ぐに理解した。
「土佐か。」
「はっ。一条家の家臣に明智日向守の親戚がおりますれば恐らくは。」
明智日向守……十兵衛とは旧知の仲だ。
あの男、天下を治めるほどの器量がありながら誠に勿体なき事よ。
わしの天下が成れば羽柴筑前と共に領地を任せてやるか。
ワシは成功した先のことを思い浮かべ1人笑みを浮かべていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
高島城 津田信澄
「あー、松永が謀反ね。分かってた分かってた。」
まあ予想していましたよ、と言わんばかりに俺は報告を受け首を縦に降った。
予想なんてしてなかったけど既にあった事実として知ってるだけだよ?
「まあ松永自身謀反するぞって脅してきましたからね。」
と高虎。
「ふん!馬鹿馬鹿しい!三好を裏切り織田をも裏切るとはなんという男だ。」
三成は痛烈に松永を批判する。
「いや、それは違うぞ。あいつは未だに三好長慶への忠義は忘れてない。前に会った時はそうだった。」
「確か謀反の理由は天下を取ると言ったそうですな。松永ももう長くはない。亡き三好長慶への冥土の土産といったところでしょうか?」
「そうだ吉継。ともかく今回の戦は俺も出るし出せる数は出す。」
「でも農繁期だから農兵は出せませんよ。まあ足軽が千人程度と言ったところですかね。」
三成が懐から算盤を取り出して言う。
「さすがに少ないですな。」
「うちの軍はだぞ?今回は蒲生、京極、小川、後藤、山崎、山岡ら近江衆を率いて出陣する。」
残念そうに言う高虎に俺が助け舟をだす。
そう、今回は俺は近江衆の大将なのだ!
「で、近江衆は合わせてどれほどなのだ?三成よ。」
そこまでは聞いてないので俺は純粋な目で三成に聞く。
「まあ、五、六千かと。」
「えー、少なー。1万とかじゃねーの?」
「無理を言わないでください。そもそも近江の大半は明智様や羽柴様の所領です。近江の土豪なんてそれぞれ2万石程度しかありませんぞ?」
三成の言うことはご尤もだ。
やっぱ大和1国くらい欲しいなぁ。
ん、そういえば紀伊って余ってたな。
「なあ、高虎。紀伊ってどうなったんだ?」
「ああ、そういえば未だにどうなったか聞いておりませんな。安土に行った時に聞けば良いではありませんか。」
「よし、そうしよう!」
安土に着いた俺は早速伯父上に謁見した。
「高島城はどうだ?なかなか良い城だと聞いておる。今度行かせてくれ。」
「そりゃ琵琶湖が見えますし近くで釣れる鮎がこれまた美味です。で、ですね。紀伊って誰にあてがわれるんですか?」
「何だ急に。原田を大和から移して大和は筒井順慶に任せようと思うておるが。」
「いやー原田は南山城に紀伊と大変じゃあないですか。私もお手伝いしたいですなぁ。」
「馬鹿言え。紀伊なんて反織田感情が強い国にお前を入れてもし大事があったら弟に示しがつかん。」
「じゃあ河内!」
「佐久間追い出したあとなら良いが?」
「えっ、佐久間追い出すんですか?」
「おう、あと林もな。あいつら無能なのに威張ってばかりで見ていてイライラするわ。」
ん?なんか早くないか、あの二人の追放は3年後だぞ?
「それはちょっと時期尚早では?」
「時期尚早もクソもあるか。権六も原田も十兵衛も失敗しても他で功績をあげるがあいつらは何にもしようとせん。本願寺攻めでも原田の下に従うのは嫌だと言うておるらしいわ。」
「じゃあ松永滅ぼしたら……?」
「追放してお前に河内はやる。その代わりに丹波攻めでしかと働け。」
「承知致しました。じゃあ今回の先手は私に。」
「いや、筒井順慶にやらせる。あれが松永を討たせてくれとしつこいのだ。」
「はい。じゃあ俺は後詰に回ります。」
「うん、任せた。じゃあそういう事で俺はやる事あるから。」
どうせアレだろ?
とにかく俺はこの旨を高虎らに報告したらみんな喜んでくれたので良かった。
さあ、あとは嫁を取れば立派な大名だ!
そう思って一人でニヤニヤする俺だった。




