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盆の中からアレやコレ(短編集)

健康プラント

作者: 八刀皿 日音
掲載日:2018/07/19


 ――私は今、巨大な魔性の植物が生い茂る、危険な森の中にいる。

 その植物は、知能を持ち、人を食物とするという。しかも巨大だ。

 気を抜けば、私などあっという間に彼らの栄養にされてしまうだろう。


 では、私はどうしてそんな森にやってきているのか――。


 答えは簡単だ。

 彼らが行商人などを襲い、その宝物を溜め込んでいると聞いたからだ。

 つまりは、一攫千金を狙って、というわけだ。


 そして……彼らの包囲を首尾良く潜り抜けた私は、奪った宝物を保管している洞窟を探り当てた。

 しかし積み重ねられた木箱は、中身が何であれ、とても一人で一度に持って帰られる量では無い。

 ともかく、特に高価そうな物だけでも持って帰ろうと、中身を確認して私は絶句した。


 どの木箱を開けても、入っていたのは……。

 植物用の栄養剤だの、除虫剤だのといった、園芸用薬品の類ばかりだったからだ。


 ――なんだこれは……。

 まさか、誰か人間が、この森の危険な植物を育てているというのか?

 つまり、これらは貴重な植物のための宝物だと……?


 あ然とする私は、誰かに呼ばれた気がして振り返った。

 そこには、いつの間にか、くだんの危険な植物が生えてきていた。

 驚きながら私は、ついつい、今感じたばかりの疑問をぶつけてみた。


 果たして――。

 まさかと思っていたら、植物は答えを返してきた。


「人間ばかり喰っていては栄養が偏るであろうが。

 栄養は、バランス良く取らねばならぬ。

 そのための補助食品である、それらは」


 ……植物が、健康を気にしているというのか?

 私の発言に、馬鹿にされたように感じたのか、植物は声?を荒くした。


「植物とて生物だ、健康を気にして何が悪い。自己管理の何がいかん。

 ……大体だな、貴様ら主食たる人間どもが年々マズく、栄養が偏っていくからいかんのだ。

 そんなことだから、我らも薬品で栄養を補い、味にも変化をつけねばならなくなるのだ、まったく」


 植物はついには呆れかえったのか、しゅるしゅるとまた地面に潜り込んでいく。


 ……おい。食べないのか……? 私を。


「喰うか。キサマ、食生活が偏っているばかりか、タバコに酒もやっているだろう?

 そんな輩を喰ったところで、栄養どころか腹を壊すだけだ。さっさと去ね。

 ここまで来る途中、同胞も誰もお前を襲わなかったであろうが。この毒物が」


 散々に暴言を吐き散らして、植物は完全に地面に引っ込んでしまった。

 毒吐きな植物に毒扱いされた私は、とぼとぼと帰るしかなかった。

 言われた通り、帰路も平穏なものだった。


 その後の人生も、平穏なものだった――身体を壊して入院生活が長引いたことを除けば。




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― 新着の感想 ―
[一言] 私氏の受けた仕打ちが面白いです。 主食のはずが毒物とまで言われるとはwww 目的のものは無いは、けちょんけちょんに言われるわ、とんだ取り越し苦労でしたね。 けれど、この経験のお陰で以後平穏…
[良い点] おもしろいです (∩´∀`)∩~♪ [一言] (;'∀') すいません。酒をやっております。 病院怖いなぁ。 先生も白米たべてください(情報)ww
[一言] やっぱ面白いですね! 寄生獣と、水の友達カッパーマンって漫画を思い出してしまいました。
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