水着コン閉幕

「クイーンの副賞はうろなスーパー提供の食材配達７ＤＡＹチケット厳選された素材をお届けします。そしてインテリアの高槻からウッドフォトフレーム。写真館シペラスよりデジカメとなっております」

「霧島恵美さんには商店街売り上げ貢献賞として書店より図書カード、あやかりたいと言う宝石店ジュエリー真金よりシルバーとブルーストーンのバングルとなっております」

「トラブルに見舞われた田中倫子教諭にはステンレスペアネックレスを」

「リトルクイーン狐坂奏サマには、アミューズメントわんでぃちけっととプール回数券１０枚つづり。お店のお手伝いがんばってください」

「風野紫苑さん、行谷エレナさんには海浜公園駅そばにあるべーカリーより引き換え券。いつでもいらしてくださいとのことですー」

「鍋島サツキ嬢にはうろな高校料理部試食けん。詳しくは担当料理部員にどうぞー」

「芝姫凛さん、狐ノ派静月さん、桜咲呉羽さんには鈴木雑貨店よりおまじないグッズ引換券の進呈となります」

「鹿島萌ちゃんには帽子の緑の鈴からＵＶカットつば広帽子です」

ノワールが読み上げ、カラスマントが参加賞と各店舗からの気持ちの入った紙袋を参加者たちに渡していく。

「入っているのは引換券です。チケット系以外の景品は引き取りに行ってください」

「今年の激励！　水着美女コンテストももう終わりとなる！」

「別れを惜しむかのように空も曇ってきましたー」

「審査員の諸兄らにも感謝するー」

「すべての協力してくださった方々に感謝を」

「では！」

「われらが大将！」

『町長からのお言葉！！』

カラスマントとノワールがほぼ交互に言葉をつむいでいく。

町長の言葉は少しおっとりとしたゆるい感じで、周囲がほっとできる空気をつくるので聞くのに苦はなかった。

今日の成功への言葉。美姫達への賞賛。ライフセーバーたちへの激励。近隣商店への気遣いの言葉と隙がない。

「仲良く楽しい司会をしてくれてありがとう」

町長がかけてくれた言葉に二人で頭を下げる。

一拍おいて。

「まぁ、利害の一致だけど、楽しかったよね」

ノワールが楽しそうな口調でカラスマントに話しかける。

「利害の一致？」

「カラスマントはイベントに力を貸してくれる人が欲しかった」

「うむ」

「僕は巻き込まれたあとはイベントを僕の基準で成功させたかった」

「う、うむ？」

「そこに友情を交える必要性はないよね？」

「つまり？」

「やだなぁ。イベント仲間かもしれないけど、友達かって聞かれたら違うと思うんだ」

あくまでノワールの口調は楽しげで。

カラスマントの意見が異なるとは思ってもいないようで。

観客席ではその様子を微妙な表情で注目してしまう。

無論、予想外の展開に好奇心で見ているものも多いが、一部は苦い表情をしている者もいる。

「り、利害の一致ーーー」

ばさりとマントを翻し、泣き去るかのように舞台袖へ消えていくカラスマント。

ノワールは軽く肩をすくめると一礼。

「オチもついたところで。また来年の水着コンテストの日まで♪　今年の海の安全をお願いします」