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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年夏
822/823

おさななじみ

「うっしゃ! 今日なら捕まえれるんじゃないかっていう紬ちゃん情報に感謝ー!」

 タックルをかけて捕獲すると千秋が抜けようとする。千秋のくせに生意気な!

「薄着の胸があたるんだよっ!」

 恥じらいを持てと外された。胸か。まぁ、板っていうよりはもう少しあるか。

「もぞもぞ自分の胸を確認するなよ」

「大丈夫。触っていいのはお医者さんとほのちゃんだけだから!」

 疲れたように脱力した千秋を逃がさないように部屋の奥へ追いやる。

「まだ、ほのかさん追っかけてたの」

 呆れたような声にびっと指をつきつける。

「人を指すな」

「じっつっはっ」

 そんな些細なこと今は気にしないのだよ千秋くん。

「菊花ちゃん、ただいまほのちゃんとおつきあいさせていただいておりますーーー! どーだ。いいだろう? 報告しようとしたら連絡手段断ちやがって怒ってるんだぞー」

「あー、ごめん? 端末破損してさー、何度か代用機変えてるうちに忘れてた」

「忘れてただと!? それにおまえは何回端末破損しているんだ!」

 信じらんない!

 指折り数えるな!

「つまり、惚気にきた訳?」

「そのとーり!」

「そういえば逸美は紬ちゃんと?」

 ふぅんって興味なさげに頷いたあとおもむろに話をそらすな。それにうまく転がされてる最中だからソコ触れてやんな千秋。

 ええいっ!

「はーなーしーをそらすなーっ」

「あー、もうっ! ずいぶん麻衣子ちゃん乗り移ってない!?」

 乗り移るって麻衣子は悪霊じゃないぞ!

「え。それはダメだ。それはよくない。麻衣子が悪霊化したらタチ悪そうっ……ん、レッサーパンダよりマシかな?」

「レッサーパンダって、いつかレッサーデーモンにでも進化しそうな言い草だよなぁ」

「ちょっ、幼友達に対してヒドくない!? 千秋」

「お前だ。柳本」

 横から突っ込んだのはどこかシラけた表情の有坂健。ほのちゃんとも千秋とも仲の良さを維持してるとは羨ましい!

 横にいるもう一人の見かけない人は千秋の友達かな?

「千秋の新しい彼氏?」

「待て! 菊花ちゃん妙な誤解はやめろ。彼はミアの婚約者だ。その誤解は絶対ダメ!」

 千秋にムッチャまくしたてられた。

 でもさ、たぶん、私らより年上だよね。彼。いや、ミアちゃんが年上好きならいいんだよね。ほのちゃんも私より年上だし。

「確かにそういう誤解は困るよね。ミアは勘違い突っ走っちゃう傾向があるし」

 柔らかな笑顔で彼がやんわり困るという様子にしかたないな。気をつけようと思う。千秋もうんうん頷いている。ミアちゃん突っ走っちゃうのか。

「レンと呼んでくださいね。それに千秋だって彼女に誤解されたら困るよね?」

 ん。誤解?

「……彼女?」

 なんで振られた千秋が疑問形か?

 少し考え込んでから思い当たったのか頷いて首を傾げている。なんで話題にされたのかわかってない表情で。

「だって彼女は仕事上のパートナーだからそういう方面の誤解とかはないと思うけど?」

 んー、まぁ仲良く見える女友達がいるのね。周りがサラッと誤解するような。

 にやっとした有坂がロクな話題を振りそうになかったから、ほのちゃんのノロケ話をぶちこんだ。

 さぁ、聞けとばかりに。



 近い部屋でほのちゃんが逸美の姉婿と呑んでいるのを忘れて。ばっちり聞こえてたらしく、ほのちゃんのご機嫌がよろしくなくなった。いや、だって私ほのちゃん大好きだもん!

 諦めてよ!

 照れて拗ねちゃうほのちゃんもかわいいけど置いていかれたら泣くからな!!

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