夕食はにぎやかに
「宇宙人の生態観察?」
「なにそれ、そんな環境あるなら即紹介して三春叔父さん!」
無茶苦茶食いつきが良かった。
「残念だが、ない」
姪は何気に妖怪怪異伝承の多いこの町に過ごしつつも、そちら方面には見事に興味を示さない。
まぁ、興味がある訳でもないけど。
専門とするのがどのジャンルの学部なのかは興味ないがもしかして「大学進学した方がよかったんじゃないか?」
宇宙工学とか、生物工学か?
「オーパーツの謎とか、隕石の痕跡と伝承にみる異星系からの来訪者の痕跡!」
恭に反対されたそうだ。少し膨れてるんだが、妹のその残念さは一応抑えておきたい兄心だったんだろうな。
「相手してる人は?」
なにか言ったりしてるんだろうか。
「星が好きなんて可愛い人だね。って言ってくれるわ。基本的にイイヒトだから」
部屋にその関連本を置いていいか聞かれたから了承しておいた。適当に読んで処理はさせないから好きにしろ。
「おねえさまには宇宙って神秘的で素敵ですよね。とだけ」
宇宙の神秘は宇宙人か。
弟がお茶を取りに来たついでに「タイムトリッパー説は?」と手をあげると「は? 時間旅行なんてないよ」とぶったぎってた。そーゆーとこが兄妹でうちの子だなぁと思いながら「晩ごはん運んで。出」とお茶をコップに注ぐ弟に命じた。
「宇宙人じたいが未知の存在なんだから、未知の現象だってあるかも知れないだろー。時間移動に空間移動。時空間転移とか俺でも思いつく範囲なら宇宙人だって考えて実行しているかもだろー」
「宇宙人はいるの。それにしても最近、そんな感じのものばっかり読んでるの?」
「天音おねーちゃんもいずるもほんといつまでも子供なんだからぁ」
まぁ、話題的には否定できないけれど、複数を同時に敵に回すのは賢くないと思うな。
「隆維にオーパーツの話題振っとくね。鈴音ちゃん」
天音がにっこりと笑う。
「じゃあ、俺はタイミングのあった休憩時間に芹ちゃんに並行時空世界はあるかって話題でも!」
「えー、二人ともいーじーわーるだぁ」
「オーパーツってなぁに?」
そう聞いたのは末の弟だった。
今夜は随分と賑やかな夕食になりそうだった。
「うちゅーじんさんもすてきなおとなりさんなのね。パパ」
いません。
「そうかもしれないね」
聞いていた娘が期待でキラキラした眼差しを向けてきた。
うん。
この町に天狗はいるけど、宇宙人は居なかった、よな?
「会えるといいなぁ」
会えなくていいと思うなぁ。




