2016夏千秋。
「っはぁ!? なに考えてんのあのバカ兄!」
「まぁ、いいきっかけと言えないでもないですよね。きっかけがなければずるずるおつきあいだけ続いて次のステップにいけないでしょうし、いい仕事ですね! 千秋さん」
いい笑顔で恭君が親指を立てる。ちょっと腹が立つんだけど!?
「うっわー、僕なら止める。空ねぇほんとにそれでいいのーって」
バカ兄をあしらうだけの力はあの家なら大丈夫だと思うけど、あー。心境はご迷惑おかけします? なんであいつがウチの長男なんだろ。両想いでも、これからの生活面がむっさ不安が伴う。
「いいんじゃないですか。そういう意味両想いですし、金銭面で困ることもないでしょうし、自立とかおっしゃるようならコネ就職先ぐらいは紹介するつもりですよ。根回し済みです」
そのサラミ、辛い奴だけど、いいの? そう。いいの。ところで一夜干し焼いてるのはなんでかな?
え?
総督とセッちゃんが飲み中でツマミ? じーさんたちなら小骨抜いといた方がいい? あ、大丈夫。
あー、うん。僕も食べる……って焼いてんの僕だろ!?
あ、お皿そっちの方がいいな。
「恭君、それ、自立?」
「自分で労働して対価を得るわけですし、問題ないですよね。運動能力高いわけですし、素直に指示に従うわけですし、結構好評なんですよ?」
どんなバイト斡旋してんだよ。
「まぁ、芹香のお守り役ってバイトをグリフも提案するだろうしなぁ」
無条件で生活費やお小遣いくれようとする義兄だからなぁ。
基本、兄達はあまやかし派だから。
マンディは、裏があるけどね。
なんだかんだで女系が支配する組織なんだよなぁ。
うーん、僕がこっちに帰ってこなくなったらたぶん、事務所が野放しになる分はずだからフォローの話も出るように話つけて、他にも子供学業優先でやってけるようにミツル達に伝えておくかー。経費横領はやめろと釘刺しも含めて。
子供は連れて帰ってきちゃったら他にも手伝うだろうし、人手金銭面では本人が拒否らない限り、大丈夫だろうし。
恭君が「は? それ以前に困らせるわけないでしょ」って顔してる。なぜ、そこがその表情?
恭君は他人だろ。確実に。
「まぁ、自分でも動くんじゃないでしょうか。お庭での影響力は千秋さんより鎮さんの方がまだ高いでしょう。千秋さんは代替わりの若手系への影響力もちはじめですけどねー」
事実、連絡ひとつで都合をつけることができる。知ってる。
「うっせーよ。ぜんぜん一部だけだから、事務系雑務に力入れてってんだろ」
ハイハイとおどけた対応。
実際、実務は恭君が手伝ってくれると比べるのが悔しいくらい手際いいんだけどね。もっと上手にやれるようにならないとな。
まあ、そういうこれからのことはさておき、たぶん早期に動きはするだろうからさっさと僕はうろなを出て、……誰んとこ転がり込もうかなぁ。
「千秋さんだってかなり甘やかしてると思いますけどね」
「あー? んなことねぇよ」
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
空ちゃん、お名前のみお借りしました




