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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年夏
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お友達と羞恥心

 風峰亨は穏やかな方だと思う。

 大半の女子に身長は負けてるけど。

 小柄で細身。サラサラだとわかる黒髪。ニキビとかもない。運動も勉強も成績良く部活にも熱心で人の役に立つことを好む。

 時々、人が出来ずにいることが発想として薄いみたいだけど、理解しないわけじゃなくて。

 どちらかというと無気力不器用流され系の私には遠い人……。

「また見惚れてトリプってた?」

 ヌッと視界に手が差し入れられた。

 平木(ひらぎ)多津(たつ)

 なんとなく一年の時からつるんでいる相手。

 私みたいな埋没系没個性から一歩突き出てるのはその高身長だろう。運動神経もいいし。(羨ましい)

「わかるなぁ。風峰の身長って理想的。あのくらいが見下ろしてカワイイよね。鴫野といるともう目の保養。胸が薄いのがまたいいんだよ」

「片方オトコ……」

「るっさい。揉むぞ」

 多津はヘタな男子より高身長。そして、スリーサイズにほぼ差がない。

 本人は小さいものカワイイもの甘いもの大好きだけど、自分の外見がネックになって自分からいけないプチヘタレ。

 出会いは慣れない通学電車で痴漢被害にあったのを助けてくれたってこと。

「おーい。燈美(ひよ)、かえってこーい。揉むぞ〜」

「揉むなっ」

 ダイエットしようかなぁ。

 でも、運動とか苦手なんだよね。

 自宅から電車、電車から学校。

 体育に学校から電車、電車から自宅までくらいしか運動しないしなぁ。

 意味の薄い会話をするのが学校での楽しみ。

「惚れてるんなら告ればいいんじゃない?」

「無理。絶対無理。見てるだけで充分満たされる」

 無関心に言う多津に悲鳴があがりそう。

 憧れるのはいいけど、隣を歩く自分とか想像できない。

 ぶんぶん頭をふる私を多津がしかたないなぁとばかりに見下ろしてくる。

「ま、燈美に相手いないとオレが独り占めできるからいいんだけどさ」

 ぎゅーっといきなりハグされる。

 声の出ない悲鳴。周りの生温い視線。ああああああ羞恥で頭がさがるぅううう。

 穴があったら埋めた上で逃げ出したいよぅ!


 視界に風峰君が笑っているのが確認できて羞恥心で死ねるなら本当に死んでるよ。


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