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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年夏
805/823

めんどくせぇ

 逸美は千秋を希望だと思ってる。

 間違ったことをしない救い主。

 千秋はその無防備な信頼に救われつつ、自分に虚勢を貼り付けていく。

 それって追い詰めてないか?

 そういうのを見ていると似た者兄弟だからこそ相いれないんだろうと思う。

 理解できないと理解しつつ、心が受け入れられないっつーの?

 実物を前にするとトラウマ発動ままならないって奴?

 ひどい目に遭ってきて幻滅したから『こいつも同じ』とレッテルを貼り付けてどこまで許されるかの無理難題。

 怖いのはわかるけどさ。

 ダチにもいた。

 彼女には自分は絶対に子供はいらないって言い聞かせると言う奴。

 うん。じゃあパイプカットでもなんでも対策しろよって思う。

 ヤることヤッて出来たら『裏切った!』『いらないと言った』馬鹿は多い。

 女はさ。もっと巧妙に仕込んでくる気がする。

 きっと、俺の逃げられないトラウマ。

 男だって女だって騙くらかしてくる奴はいる。

 美味しいとこだけ掠め取って捨てるなんて今の世の中常識だと思うしな。

 信じろってなにを?

 そう感じてる。

 千秋も、鎮も、お互いに怯えてるんじゃねぇのっては思う。

 鎮はほっとけない感じが強いけどな。

 ガキの頃の『自分はなにもできない』としか思ってない印象が強すぎて。

 そのクセ人一倍能力が高くて、いろいろできてるつもりの俺や千秋の自信を悪気なく砕いた。

 出来る奴の間違った気づかいはムカつくんだよ。

 いつだって千秋に振り回されてるようで、千秋を振り回してる。

 どっちもどっちだと思う。

 なんで、分かり合えないのかってさ。一人じゃねぇんだから当たり前だと思う。

 少しだけズレた視線は本人達の意志の強さで相互理解不全。

 似た者兄弟って面倒くさい。

 思考の順序は違っても、起因と結果は同じだったりするクセに。

 相手を守りたくて、相手を傷つける。

 ホント馬鹿らしくて口寂しい。

「面倒なら見捨てりゃいいだろ。あのねーちゃんは見捨てねーんだから任せておけばいい。ガキじゃねぇんだから」

 青空の歌姫は鎮を支えるつもりバッチリじゃん。

 千秋が鎮を捨てても大丈夫だって。

「面倒に思ってるのかなぁ。幸せに手を伸ばしてほしいだけなんだけどな」

「お前はどうなんだよ」

「えー。俺は幸せだよ?」

 無防備に見える笑顔に逸美が挙動不審(きょどる)

俺達(ダチ)がいるからって?」

 ちょいとうさんくせぇ。

「それもあるけどさ。得ることを知って、失うことを知って、手に入らないことも知れて、方法がひとつじゃないって知れて、出来るからやってみろって信じて背中を押してくれる人がいるってさ、幸せで、すっげー恵まれてると思ってるんだよね」

 本気(マジ)で言ってる?

「だってさ、言っちゃなんだけど、外見は恵まれてると思ってるんだよね。その上で成績だって悪くないし、料理だって片付けだって経理事務だって出来る。お付き合いは特別な人が出来る気がしないから、ちゃんと割り切れる関係希望を提示してるしね」

 ひらひらと軽く手が振られる。

 たぶん、本気で言ってるんだろうなぁって思うけどよぉ。

「面倒だって手を放しても世界は壊れやしないぜ?」

「当たり前だろ?」

 わかってねぇっつーか、伝わらない。

 なに言ってんだよと言わんばかりの表情が返った。

「まぁ、面倒でもダチは続けてやるさ」

 ちらっと見ると少しだけ距離がある。

「千秋は千秋だろ。ロクでもねぇ性格なのは知ってるさ」

 今さらいまさらと笑うと怒ったような表情を作った後笑う。

「健に言われたくねぇよ」

 傷を隠したけりゃ隠せばいい。

 ダチだからって全部知る必要はねぇし、求められたら助けれるようになってねぇとダメなんだろうな。

 あー。

 この兄弟マジめんどくせぇ。


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より青空空ちゃんお名前お借りしました。

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