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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年夏
771/823

2015夏祭り 朝の設営中

 朝。

 じっとりと不安定な天気。

 むしむしとした熱気が青空の見えない白い空が不安を誘う。

 設営。

 工務店のに~さんたちやおっちゃんたちが暑いさなか肉体労働。

 少し遅れて町役場の人たちや、屋台責任者たちが準備を始める。じとりとした湿気の存在がどうしても発汗を促す。湿気を帯びた高めの温度は時に息苦しい。

 千秋の無断外泊に文句をつけたくても、「俺、お前の無断外泊に文句つけたことあった?」と返されて、それ以上言えなくなる始末。千秋が文句つけるのは日々の行動に差しさわりが出た時。

「心配だろ」と言い募っても、「俺が信用と、心配で揺らがなかったって考えてるんだ?」と言い返されて落ち込まされる結果。

「終わったら次ー」

 比較的容赦なくこき使ってくるのは澄先輩。俺は基本言われたことをこなすだけなので思考余裕がある感じ。考えろって言われると困るかなー。

 こき使ってくるけど、もちろん本人も精力的に動いてる。

 田中先生との婚約が決まったことがパワーの源かもしれない。うろ高の教頭先生が都合で仕事ができなくなって田中先生が急遽教頭へと出世という展開があって、プロポーズした澄先輩はおあずけをくったカタチになるらしい。

 婚期の伸びとうろ高の教頭先生の不幸(急の体調不良だとか)はあれだけど、しあわせそーだよなぁ。いいこといいこと。

「はーい。いくぞー」

 早朝着の高速バスで今年も帰省した合田は「今年もかよ」とあきらめ半分でぼやいていた。

 こき使われるのがわかっててもちゃんと直接来てんだもんなー。

「楽しみはあるだろー」

 作業に向かいながら声をかける。

「空の」

 俺が言うと振り返った澄先輩が「倫子さんの」と続いて、合田による「萌の」そして、「浴衣姿」でハモッた。

 うん。

 彼女の浴衣姿ほどやる気を盛り上げるものはないと思う。

 萌ちゃんもかわいいし、田中先生も色っぽいだろうけど、やっぱ空が一番だし!

 新しい浴衣でも去年と同じでも絶対一番かわいい。

 ……たぶん、お互いに自分の彼女が一番て思ってんだろうな。

 だれも突っ込まない生ぬるい瞬間。視線が地味に絡んだ。

 遠巻きに冷たい眼差しを送ってくる直樹さんと、モールの鹿島さんの視線がいてぇ。オーラは作業しろ。

 作業作業。

 もう少ししたら、隆維達も設営見物に来るだろうから手伝わせるとして、千秋帰ってきたかなぁ?

 調子良くないって言うわりに家に居つかないからなぁ。


「おー、しーちゃん!」

 小休憩中に飛鳥ちゃんの声が聞こえて振りかえる。

「なんか、今朝は賑やかやね」

「町の夏祭りだからって、おはよ。早いじゃん」

「おっはー、仕事あがりー」

 飛鳥ちゃんはやたらテンションが高かった。

「昨日遊びに行ってなかった? 仕事あがりに」

 千秋たちとグループデート参加してたよね?

「仮眠してるから大丈夫! 栄養ドリンクでドーピングも完璧!」

 大きめアクションで足元がふらつくのを慌てて支える。

「ちょっ! 帰れるか?」

「へーきへーき」

 いや、ヤバそうにしか見えないんだけど?

 ふわふわしてるよな? ちゃんと前見えてるか?

 ひょっこりとあらわれた柳本が飛鳥ちゃんを捕獲。

「おはよー。ドリンクの差し入れ、むこーにおいてあるからねー。ついでに飛鳥は私んちで寝かすわー」昨日、急に仕事入ったらしいから。と続いて、「千秋から聞いてないの?」ときた。

「無断外泊」

「あらま」

 柳本は無造作に頭を掻くとにっと笑ってパンと軽く叩いてきた。痛くないけどな?

「ま、千秋も前かなりイライラしてたし、お互いさまだね!」

 心配しとけと笑われる。

 聞きたい、聞きたくない。

「柳本」

「なにー?」

「千秋の相手って、どんな子?」

「エシレちゃん?」

 にぃって笑われて嫌な予感。

「かわいかったよー。でも直接紹介してもらって判断すればぁ」

「嫉妬とか、独占欲つよっぽいけどねー」

 飛鳥ちゃんがうつらうつらしつつ、追加情報。

「連れて帰るねー」

「ああ。一人で帰ってもいろいろ心配だから、助かる」

 うん。ちょっとヤバそうに見える。

「ちゃんと帰れるってばぁ」

「はいはい。うちでご飯食べてからかえろーね」

 柳本が睡魔の波のせいで少しおかしいテンションの飛鳥ちゃんをなだめなだめ引いていく。むちゃくちゃ心配。


 エシレ君。恭君はおとなしい素直な子だと教えてはくれてたけど。

 同時に自分から告白するような行動力はなかったと思ってたらしい。

 聞いてたかぎり向こうで知り合った相手にそんな名前の子はいなかったはずだし。

 本当に千秋は新しく周りを見る気になったんだろうか?

 本人に聞きたいのに聞けない。

 こんなにもどかしいとは思わなかった。




『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』

http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/

工務店の方々。


『うろな担当見習いの覚え書き』

http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/

『うろな2代目業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n0460cb/ 

合田君、高原兄弟、鹿島兄妹、田中先生


『ばかばっかり!』

http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/

『うろな町』発展記録』

http://book1.adouzi.eu.org/n6456bq/

町役場の方々


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空空ちゃん

お借りしました


問題がありましたらお知らせくださいませー


この頃はどーしてるよ情報があればまだ反映可能ですー♪

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