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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年夏
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グループデート下準備

「どうだ?」

 条件は悪くない。

 健もどうやら必死モードらしい。なにしろ、うちに手伝いに来るほどだ!

 お客さんが顔を出すタイミングは避けようとしているようだが甘いぜぃ。パンクや故障はタイミングを選んではくれないんだから!

 それはさておき、この企画うまくそれぞれが参加するか、そこが問題なのだ。

「仄はなんとか誘う。飛鳥は千秋が誘って、待ち合わせ後にパートナーのいない予定な千秋は抜ける。柳本の役割は加藤を誘って連れ出すコトだ」

 うん、それはいいんだけどさ。

「約二名千秋参加しなきゃ帰っちゃいそうな奴らいない?」

 ちょっとこじれれば逸美は千秋について帰りそうだし、飛鳥ちゃんだって仕事休みだし寛ぐわとか言いそうだし。一旦崩れればほのちゃんも紬ちゃんも帰ると言いかねない。その場合、なぜか私と健のやけっぱちデートになってしまう。それだけは避けたい。

 健も思ってはいるのか、黙り込む。

「千秋、相手いねぇしな。ミホを誘ったら恭がウゼェし」

 確か恭くんってノワールちゃんのおにーちゃん性格わるしよねぇ。

 数合わせかぁ。鎮だと歌姫との仲に茹だりそうだしなぁ。

 未満カップルの中に熱愛カップルを混ぜてはいけない。劇薬危険って感じになってしまう。

「お。噂をすれば?」

 試験休みでうろなにきてるのか、ノワールのおにーちゃんと千秋、それともう一人がそこにいた。

 私と健はピタリと気配を消して物陰に隠れた。

 ざわざわと風に公園の木々が揺れる。

 どこか熱に浮かされたような眼差しで千秋を見つめているコ。その手には薄い水色の傘。

 千秋とノワールのおにーちゃんは戸惑った表情でそのコを見てる。

 肩で真っ直ぐに切り揃えられた黒髪、白い清潔感あふれるシャツに紺のズボン。

 肌の白い美少女だった。


「好きです。付き合ってください」


 静寂が落ちた。

 すっごい!

 生告白だよ?

 ねえ、生告白!!

 せーしゅんだぁあ!

 健に口と体の動きを抑えられて静かにさせられた。あ、そうだよね!

 会話聞き取れないもんね。おとなしくする!

「……特別には、してあげられないけど?」

 千秋、それはオッケーなのか、ノーなのかわかんないぞ!?

「付き合っても特別にしねぇってどうかだなぁ」

 健の言葉にハッとする。

 あ。そっか。おことわりってこと……。



「それでもいいです」


 美少女は悩まなかった!

 いいのか!?

 最低発言だぞ!?


「エシレ!?」


 ノワールのおにーちゃんが声をあげる。

 エシレちゃんっていうんだ。


 ……使え、る?


「エシレ。自分を大事にしてくださいね」

 ため息とノワールのおにーちゃんのなだめたしなめる声にエシレちゃんは蕩ける眼差しを千秋から離さない。長めの睫毛に縁取られたうっすいアイスブルー。マトモな忠告も耳に入らないって恋する美少女だよ。やっぱり。うわぁあ、のたうつ!

「ごめんなさい。……でも、あの出会いを、あの時間を忘れられないの」

 再会だったらしい。むこうで会ったのかな?

「まだ、そーゆーことに解放的な文化じゃないんだけどね」

 千秋が吐き出すように呟く。そーゆーこと?

 開放的?

「それでも、気持ちが抑えることができないんです」

 甘く懇願するハスキーボイスが切ない。


「同性の付き合いって周りにひかれるかも?」


 え?

 千秋なに言った?

 美少女を見つめ直す。

 うそん。

 男の娘?

「あ。僕は気にしないけどね。外聞は悪いと思うよ。エシレ」

 ノワールのおにーちゃんはオープンらしい。うーん。

 びっくりだけど、好きならエシレちゃんかわいいしいいかな?

 抵抗感うっすいうっすい。健が「他人事だからだろ」とか言ってくるのはスルー。友人の幸せのカタチを否定する気はないだけよ!

 ……紬ちゃんがのってきやすくなるかもしれないし。

「でも、私にとっては特別で、他、なんて……だって……」

「まぁ、俺は男女問わずで遊んでるけどね。イイの?」

 はい。

 千秋問題発言!

 むこうで何の勉強してるんだ!?

 しかも特別にはしないって言ってるよな!?

「千秋さんがイイんです!」

 必死なエシレちゃんの言葉と告白に柔らかくも少し困っても見える千秋の似非笑顔。

「学校、海外(むこう)だから夏休みが終われば戻るし、それまでくらいなら試しに付き合ってもイイよ。エシレだって飽きるカモだろ?」

 千秋が期間限定と最低発言。


「嬉しい!」


 それなのにエシレちゃんは堪えきれずという表情で千秋に抱きつく。

「飽きるなんてありません! 千秋さんは素敵ですもの。……その……アレでも……」

 アレって?

 え?

 ノワールのおにーちゃんがエシレちゃんの名前を叫ぶように呼んで、エシレちゃんは恥ずかしそうに体をねじった。

 後腐れのない相手にしか手を出さないポリシーは何処へやった千秋。目が座っちゃうぞー。

「ところで、なにやってんの。菊花ちゃん、健も」

 あ。バレてた。

「昼間っから公園の繁みの陰でさ」

 ハッと状況を把握する。

「出るに出れなくなっただけよー!」

 悪いのは千秋だぁ!

 千秋は肩をすくめるとなだめるようにハイハイと言って周囲を見回す。

 遊具のあたりで縁くんとるいるいと紗羽ちゃんが遊んでいた。

 視線に気がついたらしいるいるいが元気いっぱいに手を振っている。

 子守り中だったか。

 千秋が意識をそっちに向けているのをいいことにエシレちゃんにふっちゃおうと思う。

「おっはつー。健全グループデートに参加しない?」

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空空さん

話題お借りしました

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