表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年春
724/823

料理部の一幕

「きれいに出来ましたわ」

「見た目はね」

 材料を整え、下準備。

 粉を計ったり、混ぜたり、カットするものをカットしたり。

 この時点ではミリーちゃんは優秀。

 何故、結果が食用不適格なことになるのかがよくわからない。

「岡本センパイ。コレは規定通りに計量し、分割しただけで、まだ素材ですわ!混合割合も規定通りですし」

  ……そう。じゃあ、そのままいこう?

 テーマは月末の隆維君のお誕生日狙いらしい。五月生まれだったんだ。意外と知らなかったなと思う。

「愛の隠し味を添えてお届けしたいんですの」

 うっとりと両手を握り締めてスカートを揺らす。

 でもね、それはいらないんじゃないかな?

 その隠し味という響きがこわいよ?

 早川君がおうち練習もしてみたらと提案した結果、ミリーちゃんのお兄さんが早川君に詰め寄るシーンも目撃された。

「食べない」という選択肢はないらしい。そして、不味いと伝える選択肢もないとのこと。


 正直、私は器用な方じゃない。

 だから自分の分に手をかけてる時は人を見てる余裕はない。

 早川君もミリーちゃんの行動のなにが問題なのかわかっていない。私も、見ていたとしてもその経過がわからない。海老名先生はミリーちゃんを完全に苦手視してるし。

 千佳ちゃんと千鶴ちゃんは当たり前に上手にこなすから、時々、わからないって顔で観察はしてるけど、最終『どうして?』って言いたそうな表情を晒している。

 萌ちゃんと尋歌ちゃんのやわらかな誘導とツッコミの合体技で作ろうとしている物の難易度は下がっていっている。

「あ! 岡本先輩! 焦げてます!」

「えっ!?」

 千佳ちゃんの声に慌て過ぎ、びくりと動いた拍子に熱を帯びた金属部分に指があたって、体がきゅっと引ける。

 がしゃんとコンロの上でソースを作っていた鍋が踊り、ヘラが中身を散らしながら落下する。

 ぐいっと腕を引かれた。


「かからなかった?」


 からからとヘラが床の上で踊って沈黙する。

 受け止めようとかしていたら火傷してたと思う。

 答えようとしてスカートに湿りを感じた。熱はない。それでもスカートにべたりとソースが付着していた。エプロンではフォローできなかったらしい。普段の割烹着を忘れたばっかりに!

 水が流れる蛇口の下に手を突っ込まさせられる。痛い。

「……山辺くん、ありがとう」

 痛いのを抑えて救い手にお礼を言う。

「火は有坂さんたちが対処してくれてるから、大丈夫だよ」

 ニコリとされてちょっと困る。

「千佳ちゃん、千鶴ちゃんありがとう」

 気を紛らせるのにお礼を二人にも言っておく。

「おどかしちゃってごめんなさーい」

「ちゃんと冷やしてくださいね」

 二人は片付けながらフォローしてくれる。

 もう少し家事スキル上げたいなぁ。

 あと、もう少し落ち着きが欲しい。というか、しっかりしたいよ。




『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

鹿島萌ちゃん、ちら借りしましたー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ