放課後自宅 高遠碧
中学三年になり、勉強時間を増やした俺と違ってりゅーちゃんはマイペース。付き合って同じテーブルにはついているけど、決めた分を終えたら読書したり、ミラちゃんの宿題の手伝い。
週末に女の子の手作り菓子で体調を崩して月曜日休んだけど。
何気ない放課後自宅のリビングはミラちゃんが不満つけつつ宿題をしていてザワついた感じ。
静寂じゃない空間が落ち着く。
「あ。千秋兄だ」
りゅーちゃんが読んでた本を置いてスマホをスピーカーモード。
しーちゃんじゃなくてりゅーちゃんにかかってくる。と言うか、あっちゃんのスマホだし。
あっちゃんの着信拒否は継続中らしく、『出やがれおっさん』とちーちゃんの悪態が少し続く。
まとめると、むこうで世話を焼いてるみたいだった。黒い先住民ってアレかなぁ?
久しぶりってほどでもないけど、ちーちゃんの声を聞く。それでも文句をつけてる声が懐かしい。
ちーちゃん結構長電話派だからなぁと思いつつ、りゅーちゃんがちーちゃんにマメだねと茶化すのはりょーちゃんからの連絡が手紙というローカル手段だからかなぁ。
スピーカーモードと思ってないのか、ちーちゃんがしーちゃんの様子やせりちゃんの様子を聞いてきたりする。
しーちゃんとりゅーちゃんが目配せしあって沈黙った。
きっと、気がついたらそんなこと聞かないだろう。
勉強具合どうかとか、若ちゃんが馬鹿してないかと確認してくるのがちーちゃんのマメさかも知れない。
ミラちゃんが「聞こえなーい」と耳塞いで鈴音ちゃんを抱きしめてる。器用だ。
「ホームシック?」
茶化すりゅーちゃんにちーちゃんが軽く笑う。
『こないだ帰ったトコだろ? それに空ねぇの落としてるから。ちょこちょこ聞いてるし。……あ、逆に恋しくなるのか?』
しーちゃんに絡まれてた空さんが聞こえてきた自分の名前に反応する。
しーちゃんが抑え込んじゃうけど。しーちゃんもホドホドに。目の毒だから。
『ま、いっか。隆維、あんま言うなよー。ちょっと恥ずいしさ』
ごめんちーちゃん、バリ本人ココにいる。
気まずい空気をモノともせずりゅーちゃんが雑談を続ける。
途中でむこうにつまみ食い犯が出たとかで電話は終わった。
「むこーで仲良くはやっているんだ〜」
不満そうにりゅーちゃんがボヤく。
りゅーちゃんだってそういう環境に行ったらうまくやると思うから、不満出すのやめようよ。
「無理してなきゃいーけどー」
「三回」
ぽつんとしーちゃんが謎のカウント。
「ん〜」
りゅーちゃんはわかってるらしく、軽く首を捻って天井を見上げる。
わからなくてその視線を追ってみてもただ天井。
しーちゃんもりゅーちゃんもなんのカウントかは教えてくれなかった。
「おやつとドリンク持ってきてあげたわ!」
レストランフロアにドリンクとおやつを取りに行ってたせりちゃんと天音ちゃんがトレーをいっぱいにして戻ってきた。
「おお!」
りゅーちゃんがいそいそとテーブルの上に散らかった勉強道具を撤去する。
しーちゃんが受け取りに入って、空さんがテーブルを拭いたりしてくれる。
ちーちゃんからの電話があったことを聞いたせりちゃんが声を聞けなかったことにぷっくりとふくれた。
「ずるい!」
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
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青空空ちゃんお借りしてます。
いちゃいちゃ子守り中




