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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年春
703/823

うろな高校料理部 新人歓迎

課題。オムレツ(卵焼きでも可)を作って顧問に食べてもらおう!

 ゆっくりとフライパンを揺すり、焼けたたまごをひっくり返す。

「あら」

 真っ黒な出来だった。

 まだ、半熟だと思ったのに。

「難しいですわ」

 ちらりとシギノさんを見ればゆっくりとオムレツをお皿に移す作業中。少し歪ですけどキレイです。

「きゃ」

 悲鳴はオカモトセンパイ、咄嗟に放したフライパンがコンロの上で元気に跳ねてます。

 そそっとハヤカワセンパイが火を消します。

 二年生のアリサカセンパイとナカシマセンパイは生温い眼差しで布巾をなぜか持っています。

 ハヤカワセンパイがオカモトセンパイの手を水で冷やしている間に布巾でお片づけ。

 そのための布巾でしたの。

「……ザさん。ミリーちゃん」

 え?

 今聞きなれない響きが?


 カチッと音。


 確か同じ一年生のカシマさん。

「モエさん?」

「よそ見しちゃダメなんだよ」

 にこりと視線はすっかり真っ黒になったたまご。

 そういえば火を消してませんでしたわ。

 モエさんはあまり丈夫な性質ではないらしく、繊細可憐と言うイメージ。折れそうな、印象。

 そう、見つけたと思ったの。お兄さまのおっしゃる『フェミニン』ってこういうことかしらと思いますの。

「あら。気をつけますわね」

 にっこり微笑み返し。上手に優しい笑顔になってますかしら?

 それにしてもよくここまで変色しますわねぇ。

 モエさんのオムレツはキレイな黄色。つやつやですわ。

「お上手ですわね」

「教えてもらってるから」

 そう言って嬉しそうに笑う姿は春の花のように愛らしいです。それに好きな方は他の町に行ってらっしゃると言う他校生ですし、お友達になれたらよいと思いますの。重要ポイントは恋敵(ライバル)でないことですわ。

 シギノさんに続く初めてのお友達ですわ! シギノさんは特別な方はおられないとか。リューイ様好きになっても最終別れるのなら構いませんわと告げたら「ないです」と断言されましたの。

 あとでシギノさんが「お国にお友達は?」と聞いてきましたけれど、温度差があいませんでしたの。私が他人に興味を持つようになったのはリューイ様あってのことですもの。

 対人関係などは煩わしいだけと思ってましたもの。

「ミリーちゃん」

「オカモトセンパイ?」

「えっと、お皿に移してるよね、……ソレ」

 白いお皿に黒い塊。

 素材は食用品のみ。

「顧問の先生に食べていただくんですよね?」

 アリサカセンパイとナカシマセンパイが「個別でなく、集団でクッキーにすればよかった」とか言ってます。

 クッキーって自分で作ることができますの?

 凄いですわ!

 魔法のよう!





「英君。栞君」

 海老名先生が震える指で料理を指す。

「食べれるのかな?」

「私は自粛しました」

 岡本さんが自己申告。

「付け合わせのサラダがんばりました!」

 不揃いなサラダ。

 問題は黒い塊。

『食え。と?』

 海老名先生の目はそう訴えていたが、当然ながら我々はそっと犠牲者から視線を逸らした。



『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

鹿島萌ちゃんお借りしてます。

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