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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2015年春
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留学生

「料理部の関係者だって?」

 そんな言葉と共に机に置かれた腕が見えた。

 見上げれば金髪。

 留学生だ。

「ああ。そうだけど」

 それなりに整った外見と女性に優しい振る舞いでクラス女子にはそれなりに人気だ。

「妹は、調理場に今まで入ったことのない子でね」

 そう言えば同じ苗字だったかと思う。

「まぁ、そういう人もいるよな」

 チラッと宗を見る。不思議そうに見返される。

 お前もだったろーが。

「妹はクセが強いから迷惑かも知れないが、よろしく頼む。それと」

 普通に兄らしいと思いつつ頷く。それと?

「妹と二人っきりにならないように」

 は?

 なに?

 クセが強いってやばい子なの?

 咳払いされた。

「妙な噂評判は困る」

 は?

 何言われてんの?

 宗がとんっと肩を突く。

「結婚前の女の子が男性と二人っきりだと妙な噂たつからダメってことだね。事実がどうであれ、そうとれる環境を作るなってことだと思うよ」

 宗を見て、留学生を見る。そうだと答えられる。

「まぁ、気をつけるよ」

 うん。

 常識に対する感覚がなんか違う。そんな風に思ってたら宗が囁く。

「状況によっては結婚しろって強要されるよ」

 待って!

 違いすぎだろう!?

 世界観!

 感覚違いすぎだろう。常識感覚通じなくね? 

 留学生も肯定してんなよ!

「例えばまぁ、不慮の事故で素肌を見ようものなら」

「自決するか、結婚するか、適正な賠償金かだな」

 宗が言って留学生が続ける。

 待て!

 覗きなんかする気はないが、頼むから待って!

 なんで、そんなことで、生死がかかってくる!

 ついでに人生まで!

 それに、

「彼女は日生兄弟の下双子の片割れに惚れてるだろ」

 辛うじて声は落とした。

「帰国してる方?」

 宗が確認してくるから頷く。

 少し、考えるように窓の外を眺めている。

 春先の天気は不安定で雨や曇りの日が多い。

「ウチの妹と話が進みつつあるんだけど。本人の意志だし、反対しているのは父さんくらいかなぁ」

 ぽんと情報が入ってくる。

 そーゆー話も驚くけれど、

「ちゃんとコミュニケーションとってたんだな」

 良かったとまず思った。

「恭兄さんが教えてくれたんだ」

 嬉しそうににっこり。

 待て。

「同じ町に住んでる妹とぐらい、もう少し、コミュニケーションをとれ!!」

「……なに話していいかわからなくなるんだ。どうやったらコミュニケーションってうまくいくんだろう」

 演じてとったコミュニケーションが無意味なのは理解してんだろうなぁ。

「妹とは不可解不可侵の生物だ。並みの兄では理解出来ないものに決まっている」

 え!?

 そこまで未知の存在!?

「難しいね」

 宗の言葉に重々しく頷く留学生。

 い、妹いないことが幸い?


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