対話 鎮vs千秋③
「大嫌い」
すとんっと入ってきた言葉に頭の中が真っ白になる。わかってたはずだった。嫌われていることくらい。
聞こえたのはため息。
顔をあげたら笑う千秋がいた。
「うん。良かった」
そう言って伸びてきた手が頬を撫でる。
声が本当に嬉しそう。
なにを良かったと言っているのかがわからない。
「まだ、しずのこと傷つけれるんだ」
機嫌よく笑う千秋がわからない。答えをもらっても理解できない。
「守ってもらうだけじゃ、嫌なんだ。教えてくれなくていい。自分で見つけるからさ。約束して?」
自分で?
なにを見つけるって言うんだ?
「約束?」
「だからさ、干渉しないコトだよ」
「できない」
だって、なんだか危なっかしい。危ない状況にいって欲しくない。
「えー? じゃあ、干渉する時には俺が納得できる説明をしろよ?」
ほら譲歩と千秋は笑ってる。
無理だ。説明なんかできない。
「しーず。大丈夫だって。お前以上に俺を傷つけて不快感を味あわせてくる相手はいないからさぁ。だーいじょーぶ」
なんでか千秋がすごくすごく楽しそうで。
その言葉に傷つく。
不快感を感じてた。
嫌われていた。
大嫌い。
愛して守って……。
それが言いつけ。千秋がどう思ってもいいはずで。イヤだなんて思うのが間違いで。
思考が軋むように回る。
「生きている相手で、」
千秋?
ぎゅうっと抱きつかれる。また、痩せたんじゃないかと思う。
やっぱり、ダメだとしか思えない。千秋は関わるべきじゃない。
そうだ。それに千秋が俺を嫌いでもいいんだ。すべきこと考えることは変わらない。
囁くような小さな声。それは聞き逃しそう。
「一番、愛してるからさ。しずのこと」
!?
え?
キス。
絡む視線。千秋は笑っている。
なにを言った?
「振り払うなんて簡単だろー? も少し先に進む?」
にやにやと楽しそうに笑う。先って何?
「空ねぇとはどこまで?」
「っかなこと言ってんじゃねぇ!」
咄嗟の俺の答えに笑い転げる千秋。
頭に血がのぼる。先って!
「まだ? まだ、進んでねーの? ヘタレてんの? ばっかじゃね?」
おっかしーのと軽くパシパシ叩かれる。
さっきまでの雰囲気はどこへいったんだろう?
あの言葉は俺が都合よく聞いたと思っただけ?
「だって……」
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より空ちゃんお名前お借りしました。




