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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
664/823

現実を見てみましょう

「ミホちゃんはさ、健が好きだから、恭君に向かないと思うんだけどなぁ」

 鎮さんが甘ったるいことを言います。

 現状を見てませんね?

「ミホさんも見込みのない恋愛感情ですよね。健の方にその気がありませんから」

「うっ」

「いいですか? 健にとってミホさんは妹、いえ、妹よりは格下の舎弟に近いですね。便利な子分といったところでしょう。のぼせあがってくれているし、使えるなら使ってしまえというところでしょう」

 鎮さんも否定はしきれないようですね。なにかいいたそーですが知りません。

「もちろん、使えるモノは適度の整備は必要でしょう? それでもミホさんが距離をとれば健は追うことはしないでしょう。多分、それが健にとってはミホさんに向ける優しさなんでしょうね。しゃぶり尽くすのなんて本来は簡単なんですから」

「でも……」

「それに、健は飛鳥さんに想いを寄せているようですし、ミホさんにつけ込むんなら今がいい感じなんですよね。飛鳥さんのタイプってどうなんですか?」

「ぇ!? 飛鳥ちゃん!? って、つけ込むって!」

 そーです。飛鳥さんです。付け入るでもいいですよ? ほら、いやな表情しないでください。楽しいじゃないですか。

「えー。真面目でしっかりしてて、絶対非暴力で、金銭感覚生活感覚周囲との調和のとれる裏表のない男性なら考えてもいい。だったかな」

 ……それはまた、夢も希望もない断り文句ですね。少なくともそーいった話しを彼女とするんですか、え? 千秋さん情報。そーですか。

「恋愛する気ないですよね。飛鳥さん」

「クズはイヤだって言ってた。だから老後のホーム代と葬儀代を稼ぐために頑張るんだって」

 優しげな微苦笑浮かべてますがね。

「夢は自活ですか」

 なかなか、ダメな男にコロリと転がされそうな人のようですねぇ。

 そういう心の傷があるとハマりやすいんですよね。本人警戒してるつもりでどこか寂しくなる瞬間とかがありますからねぇ。

 健がまっとうを目指すなら碌でもないも知っているわけですし、見込みがないわけじゃありませんね……。

「ミホさんはちゃんと僕が転がり落とす方向でおいておきましょう。とりあえず」

 情報収集の追加と健の唆し手段を考えなくちゃいけませんね。

 ひとまず保留です。

「一ヶ月、ほぼ電話・メール相談だけだったわけですが、落ち着きましたか?」

 本当はあの日ちゃんと話を聞きたかったんですけどね! 僕の帰宅時間までには帰ってきませんでしたから鎮さん。

「ん~。特に何事もなかったしね。千秋ともあたらず触らずってとこかなぁ。何事もなかったような時間が過ぎてる感じ」

 わぁ、鎮さんが面白いこと言ってます。

 あ、ちょっと引きましたね。

「受験、終わるまではそれでいいんですよ。それで。受験対策と、空さんとの愛をフカメルヒビデ」

「あ、でも、学校では昼一緒に食うようにしてる!」

 ああ。

「会話なくでしょう? 早川君に同情しますよ? あと迷惑がられてませんか?」

 千秋さんに。ぁ。豪快に頷かなくても……。

 それに早川君はいつか遭遇して僕自身でいやがらせをするその日まで無事でいてほしいものです。

「あれ? 知ってる?」

「宗に聞きました」

 同じ家にさえ住んでいればお弁当ぐらい毎日作るのに。

「コレも現状維持でおいておいて大丈夫は大丈夫ですね。ただ、おいておくと放置は違いますからね。マズ必須項目は!」

 鎮さんを指さしてみて、さぁっ。

「しっあちゃーん」

 はい?

 確認しましょう。

 ここは鎮さんの部屋です。ちょーシンプルです。全部、収納されてる感じです。

 そして肩に重みを感じます。さっきまで間違いなくありませんでした。

 先日、満翔に貰ったお守りがほんのり温いです。

 そしてさっきの声はジークさんです。鎮さんが笑って手を伸ばしてきます。

「シアちゃんはほんとジークが苦手だね」


 あの、とって、ください……。




『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

空ちゃんちらりとお名前お借りしました。

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