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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
658/823

鎮とエルザ だいじょうぶ




 ゆっくりゆっくり考える。

 ミツルは『キャスの排除』に消極的。

 それでも俺の結論は変わらないけれど、どこまで採用するかはミツル次第。

 ミツルは『シー』の結論に理由を求めない。

 ただ、割り出されたデータとして受け入れる。俺も強くは言わなかった。『キャスの排除』は庭に必須なことではないから。

 マズイなら誘導補正するでも大丈夫ではあるから。

 ただ、千秋にとってそれは多大な不利益の後である可能性が高かった。

 俺が選べるのは、キャスじゃなくて千秋だから。それにキャスはセリにも敵意を向けた。

 本当に排除理由は十二分だった。

 弟と妹を愛し守る。そこに害があったと判断しただけだ。

『シー』の決定項目は最初に結論が出る。

 理由はあるんだろうけどそれは他人事のように後からの分析。

 そこに至った経緯は求められない。

 だから、エルザが噛み付いてくるとは思ってなかった。

 エルザからすれば空を傷つけることのないキャスは許容の範囲だったんだと思う。

 それはどこかがぎしりと軋む。

『どうして』とエルザは『シー』に問う。

 ミツルの問いは平気なのに、エルザに聞かれてどうして違和感を感じるんだろう?

『ルーカスも、大事なはずでしょう?』

 頷ける言葉だと思う。でも優先すべきは弟妹。そうしなくちゃいけない。

 そして『庭』という場所。

 ソレを守らなくちゃいけない。

 いらないと言われてもそこは守らなくてはいけないライン。

 エルザが泣きそうな気がした。

「エルザ?」

 問いかけながら軋みを感じた理由を考える。

 気がついたのは、俺が間違っているということ。

 俺は生きてることを望まれなくて、幸せになる義務を持ってるのは人間ひとで。

 ヒトが幸せを感じるためにいて、そのために動くことを幸せとして。

 そのヒトの定義は『庭』に準じて。

 エルザは同じ、はずだけど、ヒトに近いと感じる。ミツルはヒト。

 嫌だ何て本気で思ったことはないはずだった。

 それはヒトの持つ感覚で、俺はソレを持つ必要はないはずだった。

 もし、感じるならそれは壊れてるんだと思う。

 感じるべきでないことを感じる。

 機能不全?

 理解しなくていいはずのこと。

 それでも、理解すべきを理解できたと思う。

 パズルのピースがはまるように。

 俺は

「エルザに道具として扱われる状況を想定してなかったんだ」

 だから、軋みを感じた。

 それは俺が自分の存在を誤認しかけていたということ。

「ごめんな」

 エルザは謝る俺を見ていた。

 信じられないと言いたそうな表情に悪いことをしたんだなと感じる。許してもらえない?

 エルザは何かを言おうと口を開きかけて閉じる。言葉が出ないかのように。

「しずめ」

 ようやくまとまったのか、呼んでくれたエルザは笑顔で。俺もほっとする。

「壊れていいの。痛くていいの。ソラが一番でいいの。ソラはきっとしずめが大切。ソラが幸せがいいでしょ?」

 空には幸せで笑っていてほしいのにうまくできない。主に俺がうまく振舞えない。

「ソラはきっとしずめが幸せでなきゃ幸せになれないの」

 ぽふんと頭を撫でられる。

「ごめんね。道具だなんて思ってないわ。しずめはしずめなの。ルーカスのことを、しずめは好きだと思ってたから。ちあきがいやな目にあうのがイヤなのね。ちゃんとジークやレックスに入れれるフォローは入れてあげてって伝えてあげる。ジークだってそばにいれば、……物理的な脅威は庇ってくれるはずだわ。メンタルで、役にたつかっていうと、バカさっぷりで和むくらい?」

 エルザはくすくす笑って対応を考えてくれる。

「レックスなら対人系も多少は対応できるでしょ。私も様子は見ておくわ。でも、フローリアもフォローを入れる気はあると思うから、基本は大丈夫よ。マンディとグリフもちあきのことは可愛がってるもの」

 茶目っ気たっぷりに指をふる。

「ちゃんとルーカスの弱点を見つけて揺さぶっておくから心配せずにソラを幸せになさい」

「俺がヒトを幸せにできる?」

 いらないものから抜けられないのに。

「ばかね。しずめが幸せにするんじゃないわ。しずめが幸せになるの。それにヒトじゃなくてソラよ。他のなんでもないソラだからね?」

 好きでしょう? 特別に。と覗き込まれて頷く。


「じゃあ、だいじょうぶだわ。きっとうまくいくわ」


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

空ちゃん話題でお借りしました。

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