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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
642/823

九月二十日朝食準備中2

「結論ってなに?」

「そうですね。邪魔しないで下さいね。でしょうか?」

 こっちからもふってみたらそんな答え。カチンとくる。

「邪魔って?」

 アレ、うちのにーちゃんだからな。

 朝ごはんの下準備を手伝ってくれているのは助かるけど、それとこれは別だし。

 タチが悪いっていうのは公志郎から適当量聞いてるし。

「今、鎮さんは僕がオモチャにして遊んでいる最中なんですよ。もちろん、本人承諾のもとですよ? ある程度の他干渉は仕方ありませんが、調整して納得させた後即、崩されると非常に面白くないんですよね」

 つまらなさそうな視線。昨夜はいきなり連絡いれて迷惑かけたのは本当だけど!

「オモチャにって!」

 調整って!

「怒鳴らなくても聞こえます。隆維さんがどうにかできるんですか? 隆維さんでは近すぎますし、手を差し出したいって考えても今さら遅いんです。別に、いいんですよ? 破綻しても。僕がきっかけを作ったわけじゃありませんし、選んだのは鎮さん自身ですからね」

 どうにかできるんですかと問われて、答えられない。

 むこうに帰る前は落ち着いてた。動き出して見えたんだ。まだ悪くない方に。最善じゃなくても好転して見えていた。

 だから、離れた。変化はないと考えて。

 千秋兄と距離を取っているのは自分の空間を作ろうとしてると思ったから。千秋兄は影響力を自覚してないから不満を思っても変わらないはずだった。

 あの時は、まだ、空ねぇとの仲を反対するなんて考えつかなかった。良い方向に向かうと思えたから。

 それなのにこの二カ月で何があったのか、現状の意味がわからなかった。

 オモチャとか調整とかって単語がまともに扱っていないように感じられて仕方ない。それでも、きょういっちゃんのとった行動はたぶん、状況改善なんだと思える。だからと言って納得できない。

 ため息を吐き出しながらたまごを割って混ぜるきょういっちゃん。

「確証はありませんが、たぶんきっかけはお祭りの晩ですよ。僕は隆維さん達の方にかりだされてましたからね。あまりよくは知りませんが」

 熱したフライパンにジュウッと音をたてて溶き卵が踊る。

 思い出すのは騙し討ち。むこーの大きいおじいちゃんたちは大好きだから。

「だから、僕もわかっているんですよ。隆維さんが知らなくても仕方ないと。むこうでもいろいろあったようですしね。それでも、影響力の強い干渉は非常に迷惑なんですよね」

「影響力強い干渉?」

 鎮兄に対して?

 そんなものない。簡単にカットされるものでしかない。

「そーですよ。だから、僕が遊ぶためにもできるだけ妙な刺激は遠慮したいんですよね。千秋さんからの影響もちょっと避けたいところですよねぇ」

 鎮兄が千秋兄と距離を置くのは反対じゃないけど、難しいのも事実な気はする。

「それ、俺が考慮する必要ないよね」

「そうですね。ところで」

 肯定しつつニコリと笑われる。すっごく悪寒がはしる。

「父にね、言いつけられてしまって。伝言です。あまり外出せずに、学校に行く時も誰かと一緒。碧さんと通学ですね。あと、護衛の方をあえてまくような真似をなされないように」

 そんな話になっている原因を知っているような、カマをかけているだけのような対応。

「しばらくは学校の課題の片付けが大変でしょう。集中しているうちにカタがつくと良いですね」

 知ってるんだと思う。

「千秋さん達には報告は?」

「しねーよ」

 きょういっちゃんが小さく笑う。

「そーですか。でも、むこうで連絡を待っていそうな人達には『無事帰り着きました』連絡はしておいた方がいいですよ。隆維さん達が寝てたらどうかだしとこっちに確認連絡がきてなかなか迷惑でしたから」

 ひきつる。

「ごめんなさい」

「いーですよ。隆維さんに対価を支払ってもらう気はアリマセン。コレをチラつかせて公志郎をこき使いますから」

 なっ!?

「ちょっ! それおかしいだろ!? 迷惑かけたの俺だろ!?」

「ええ。そうですね。でも僕に提供出来ること何かあります? ないでしょう? そうですね。大人しくしている事と鎮さんをあまり刺激しないでくださると助かりますけどね。そろそろ、千秋さん達を朝ごはんですと呼んできますね」

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より空ちゃんお名前ちらりお借りしました。

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