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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
641/823

九月二十日朝食準備中

 朝の挨拶。

 いそいそとルーカスが千秋さんのところへ向かう。志狼(シロ)はおじい様に文句をつけに。

 僕は今朝、うろなに来る原因となった隆維さんにむかう。鎮さんなら散歩時間でしょうしね。

 朝食の準備を手伝いつつ、あたりさわりのない会話。

「え?」

 キッチンを覗く芹香さんが予想外とばかりに声をあげた。


「おはよー。芹香」

「おはようございます。どうしました?」

「なんで、きょういっちゃんなの? そういっちゃんは?」

 挨拶より先に渦巻く疑問でしょうか。不愉快なほど期待はずれ感を味あわされていますよ?

「今日は諸事情により僕ですよ。ご不満のようですね」

「うん」

「迷いありませんね。ちょっと傷つきます」

 まだ、芹香さんには何かした覚えはありません。

「約束してたの!」

「約束?」

 大概はこなせますけど?

「ゲームのサポートしてくれるって! きょういっちゃんできる?」

 芹香さん。僕が明らかにできない前提ですよね。残念ながらその通りです。

「……。無理ですね。操作程度ならともかく、違いますよね?」

 課金で初期ブーストかけてやればいいのではと思う僕は話ネタ用のお付き合い以上はプレイしません。

「せーりーか」

「ぁ。おはよー隆維。きょういっちゃん」

 隆維さんに促されて挨拶がようやくきました。そこまで、僕でショックでしたか。

「ん。朝飯、ごはんとパンどっち?」

「パン」

「りょーかい。家事当番、今どーなってんの?」

「朝の掃き掃除、行ってくる!」

 ハタッと気がついたような芹香さんはキッチンを出て行きます。担当家事に向かうのでしょう。まあ、隆維さんとの会話の邪魔ですしね。



 芹香さんが出て行くのを見送ってから天井を仰ぎます。

「約束、してましたかー」

 予定外ですねー。宗一郎、言ってませんでしたね。

「そー言えばしてた。ゲームはやらねぇんだ?」

「時間の無駄ですからね。志狼さんがそれなりに出来るはずですから、サポートさせますか」

 芹香さんのことは適度に可愛がってるし、ゲームは好きですしね。彼ら。

「あと、そういっちゃんがゲーム内で誰か紹介してた。そっちとも約束なんかしてたんじゃね?」

 志狼さんは何も言ってませんでしたから、違いますね。じゃあ、紹介するとしたら、たぶん、

「あー。彼女、ですかねぇ。連絡取れなくはないんですが」

「ですが?」

「僕だとバレると切られること請け合いです」

 面倒な相手です。

「誰?」

「宗一郎の現婚約者で僕の元婚約者ですよー」

 家を継ぐ相手と彼女は婚約しましたからね。

「気まずい、とか?」

「いいえ。元から不仲なだけです」

 恋敵みたいなものでしょうか?

「そういっちゃん、大変?」

「何がです? 元々、あの二人は両想いですからね。邪魔ができなくなって残念ですが、ある意味、お互いに知っている相手なので楽ですね」

 仲のいいフリもあまりしなくていい気楽な関係です。

 そんなことより、本題に入りましょうか。

「さて、本題です。あ、出汁は煮立てちゃダメですよ。火を弱めましょう」

「あ、うん」

 沸騰させるもんじゃないと思うんですよねー。具材はフリーズドライですか。オクラ食べたいんですか? たまねぎは自力カットですか。まぁいいでしょう。

「まず、結論を」

 豆腐は入れなくていいと思います。

「料理じゃありませんよ?」

 どーして意外そうなんですか?


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