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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
626/823

九月十九日 夜 旧水族館 4

 髪を乾かしている間に見せつけるようにアイスを食べる芹香を睨む。

 俺は食事が先だと言われて、まだ何も食べれてない。お腹空いたらなおイラつくじゃん。

 ジークにーちゃんとエルザねーちゃんは「説教タイムの邪魔はしない」と笑って帰っていった。居候じゃなかったんだ。ま、過干渉なのは変わんないけどさ。

「エルザがこっちに来るまでは部屋の予定とかわからなかったからここに泊まってたけどね。こっちがイイって駄々こねてたよ。よし、乾いた」

 千秋兄がくしゃりと髪をかき混ぜる。

 どうも、千秋兄はよその人が知らない間にいることには忌避感ないんだなぁって思う。

 碧ちゃんはわかちゃんについてるし、千鶴はしておきたい事があるからって自分のアイスを持って部屋に帰ったし、ミラは読書中。

 鎮兄はキッチンで空ねぇといちゃつきつつ、俺のゆーはん作り。先にアイス食べてもいいじゃんって訴えても却下された。

 ベタ甘だとは思ってたけど、あそこまでだっけ?

 芹香も他の誰も違和感を抱いていないらしく当たり前な対応。

「空ねぇならちゃんと鎮が送っていくか、お泊りかだろ」

 時間を気にする俺に小声で千秋兄が告げる。

「それ、あんまよくねぇじゃん」

 解決策じゃねーよ?

 俺が不満だと訴えれば、わかっていない反応、と言うか、「何が?」と言わんばかりの反応が返ってきてカチンとする。

「空ねぇは千秋兄がヨソで遊ぶ系のねーちゃんたちと違うんだから、当たり前だろ」

 元々、千秋兄が付き合うのは割り切り愛人系女子がメインだもんなー。特別だったのは一人だけ。

「遊ぶ系?」

「エルザねーちゃんやミホねーちゃんは遊ぶ系つーか、恋人愛人そっち系だけど、空ねぇ違うんだからさー。評判とか、いろいろ良くならないことは避けるべきだろー。んー、あと、五、六年して、芹香が夜遅く帰ってきたりとかイヤじゃね?」

「そっち、系……?」

 俺、ミアやノアがそうなったら嫌だし。ミラは……『結婚。何ソレオイシイの?』って平気で言うからちょっと問題外。

 青空の空ねぇたちは家族同然。だからこそ、守るべき秩序(ライン)ってあると思うんだ。

 ほら、小梅センセのお父さんだってやらかしたじゃん? 娘がほしくば乗り越えろ的な。俺らのとこなら、うちの妹はそんなに安くないぜ的な。

 鎮兄なんか、一人で空ねぇに困らせないくらい稼げるのかって突き詰められたら……、手段選ばなきゃ稼げるのかな?

 いやいや、うまく幸せにできなきゃダメだろ。鎮兄、俺らからの援助とかって基本嫌がりそうだしなぁ。どこか抜けてるし。

「んー。それ、芹香が選ぶ道だし、露骨な口出しはしたくないなぁ」

「いや、好ましくないルートは止めようよ。にーちゃん」

 思わぬ答えが返ってきた!?

「まぁ、ダメなことはあると思うけどね」

 軽い。

 思ったより、その辺の基準が軽かった。家の女の子に手ぇ出されたら普通に『お話合いしなきゃ』っていう家でちょっと過ごしたからなー。あそこまで露骨だと『お兄ちゃん達、ウザい』になるんだろうけどさ。

 んー。

「どうした?」

「お腹空いてイラついてる時に決断は下すべきじゃないなーって思ってるだけー」

 大人しいなとふと芹香を見るとそういっちゃんとノートパソコンを見ながら何かしてる。

「芹香ー、なにやってんの?」

「ネトゲのキャラ作成! 悪の女幹部を作るの!」

 そういっちゃんアシストのもとノリノリでこっちの会話に気がついてなかった、のかな?

 そういっちゃんが意識を逸らさせてたってトコかな?

「やるんなら課金なし、一日一時間だぞー」

 千秋兄、そーゆーとこはしめんのになぁ。

「わかってるわよ!」

 千秋兄に言い返した後、芹香が俺を見る。

「置いてきて、涼維にー怒んないの?」

「怒ってると思うよー。でも、俺は特にやることなくてひっまだったんだよなー」

 院内で友達は増えたけどさ。

 涼維は体験的に縁故の学校(寄宿舎系)に放り込みされたから、クリスマス過ぎまで帰国むりだろーしなぁ。

 病院での検査生活は退屈でぬるま湯で限界だったしなー。

「だだ甘やかしの世界には半月もいたら充分飽きるね」

 伯父さんたちや祖父母、イトコやハトコ、集まってた親類。その中で滅多にいない親類の年少組として構われた。

 母親の一番上の兄の子供たちが特にかわいがってくれた。

 自分たちの弟になると思ってたのに離れてたのが悔しかったとか言われてもちょっと困るけど。

 でも、その案が採用されてたら、平和だったんだろうなとも思えた。

 でも、俺は、もどかしいし、多分どーにもならないこの家族が好きなんだよね。

「涼維は怒ると思うけどさ、それが嫌だから別行動はとらないなんて、いつまでも言ってらんないしね」

 納得したふうの芹香。逆にもどかしげな千秋兄。

 嫌って一緒にいるのをやめたんじゃなくて、一緒にいたいから距離があっても、好きなのは変わらないって考えたい。

 たぶん、新しい人間関係に慣れ始めてるから大丈夫。

 それにしても関係悪化してるように見えるけどさぁ、千秋兄、なんか鎮兄の地雷でも踏み抜いたの?


 あー。おなかすいた〜。


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

空ちゃん(お名前)

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

清水先生と梅原(父)さんの対決ねた。

お借りいたしましたー

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