九月十九日 夜 鎮1
「では、空さんと僕がデートする時は電話連絡、メール連絡、いかなる手段を持ってしても追跡行為は禁止ですからね。わかりましたか? 鎮さん」
納得したつもりだったけど、そんなふうに伝えられると納得できない気分にかられる。
いかなる手段って大げさだろう?
ホントに、
「なんで、そうなるんだよっ!?」
「えー。空さんも鎮さんも僕にもダメージがあって、一番空さんに被害が少ないって納得したじゃないですかー?」
柔らかい笑顔で斜め向こうを向いて答える恭君。
「ダメージって!」
ひどい言い方だと思いつつ、空をぎゅっと抱きしめる。
「だから、僕の意中の人はミホさんであって空さんじゃないんですよ。それなのに空さんとデートしてたなんてしれたらマイナス評価ぽいじゃないですか」
そんなことを言いつつ、お茶とかお茶菓子とかをそそっと勧めてくる。そして視線は斜めむこう。
「ちょっと待て」
「はい」
「空になんの不満があるんだよ!」
「空さんへの不満なんかありませんよ。僕の恋愛対象が別にいるだけです!」
どこに食いつくんですかとかなんとか恭君がぼやいている。
空はこんなに可愛いのにーーー。
「味見しようものなら怒るでしょ」
味見ってなー。
「当然だろ」
俺の空だぞー。
「……ね。空さん、このヒトどー調教しましょうかね?」
だーかーらー、さり気に空の手、握ってんじゃねーよ。
困ってっだろ。
「鎮さん」
「おう」
スッと瞳を覗き込まれる。
見返すのに迷いはない!
「空さんが困ってらっしゃるのは、僕が『調教』と言う言葉をチョイスしたせいで手を握って、これからがんばりましょうね。という意味では困惑も困りもしてらっしゃらないと思いますからね」
え?
そうなの?
大丈夫? 空?
「困ってる原因を追究すると鎮さんの分が悪いことを理解しましょうね?」
え?
俺なの?
恭君にため息つかれた?
「この反応事態は問題なしでいーんですよね。それとも人前でらぶらぶはぐちゅーは恥ずかしすぎるようなら伝えないと、……きつめにしっかり伝えないと、鎮さんは理解せず甘えてると思いますよ?」
なんか恭君言い直した!?
なんで、こうなった!?
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より空ちゃんお借りいたしました。




