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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014秋
614/823

九月十九日 夜 千秋3

「空さん」

 宗君が呼びかければ急いで駆けてくる。

「し、鎮君は?」

 急いで来たのがわかる息切れ。それでも鎮への心配が先立ってる様子の空ねぇ。

「恭兄さんが話を聞いてます。でも、空さんいた方が良いって。お時間大丈夫ですか?」

 宗君から与えられた情報にこくこくと頷く空ねぇ。宗君が不意にこちらを向く。

「あ。千秋先輩はダメですからね?」

 息を吐く。

「さすがにわかってるって。空ねぇ、ごめんね。アイツのこと追い詰めるような気はなかったんだけど、なんか、上手くいかなくて」

 モヤっとしたものはある。

 どこまで話して大丈夫なのかわからない分、上手くまとまらない。

 宗君の住んでるマンションまで同行する。

「チーアーキー」

 くんくんとルーカスが背中を引っ張る。

 服が伸びると睨めば機嫌よく笑われる。

「つたえるべきはー、おにーちゃんをよろしくでしょー」

 なんかムカつくから殴っていい?

 こちらを気にすることなく全開笑顔で「シズメをヨロシクー」って、

「なんで、ルーカスが言うんだよっ」

「未来のオネーサンかもしれないからー」

 ルーカスはへらりと笑う。

 勢いに驚きつつ空ねぇも小さく笑う。ついでにこっち見た?

「ルーカスです。オネーサン」

 名乗りつつ悪戯っ子のように笑う。苛つく。

「オネーサンがシズメとうまくいって、ボクがセリに選ばれたら未来のオネーサンかなぁと」

 ろり?

「ちなみに候補の中でボクイチバン年下だからね。チアキ」

 ぇえー。

 どーしよう。不満しかないんだけど。

 宗君のマンションの前。

 上にはあがらない。エレベーターホールで空ねぇを少しだけ呼び止める。

「空ねぇ、……鎮のこと、お願い」

 上手くまとめられない。辛うじて言えたのはそれだけ。


「うん」


 空ねぇが消えたエレベーターを見送りつつ息を吐く。

 そして、横でこちらをうかがうルーカスに俺が言うべきことは一つ。

「ロリコン」

「そー言われるのはわかってたし、今回、セリには会う気ないんだよ?」

 なんで?

「だって、年齢差の大きいうちに姿を見ちゃうといもーととしか見れなくなることもあるでしょー」

 適齢期まで会いたくないなーというルーカスはなぜか空ねぇと一緒に部屋に戻らなかった宗君に笑う。

「ソーイチロ、チアキの好きになったオンナノコってどんなかんじのこだったのー?」

 それはキラキラの好奇心。

「あんまり、知らないんですけどね」

 宗君!?

 何を話すつもりだ!?


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より空ちゃんお借りいたしました。

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