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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
603/823

二学期の階段踊り場

「千秋〜」

「なに、菊花ちゃん?」

 階段途中で千秋を見つけて呼び止める。

「鎮とまた喧嘩したでしょー。凹んでたぞー」

「……。その件はノータッチでよろしく」

 不機嫌そうに深緑の瞳に影が差す。

「文化祭までに料理特訓とメニュー決めメインで手伝ってあげてね!」

「なんで!?」

「進路決定抜けがけったんだよね?」

「いや、抜けがけって」

「暇でしょ?」

「暇じゃねーよ」

「鎮より暇だよね?」

「あいつが忙しいのはひとえに空ねぇにベタ惚れだからだ!」

 ざくっとわかりきった発言。


 うん~?


 こいつは今年の夏ほとんど、日本にいなかった。

 帰国したらテキトーな土産(前回は短期だったからとか言ってたが、今回もテキトー感溢れる土産だった)をくれたが、遊びに行ったらむこうでの友達の古着を貰ったとかで「いるか?」と聞かれたから数着強奪した。

 糸がついたままのがあったかっら聞けば苦笑して、「買ったはいいがシーズン逃した去年モデルも入ってるらしい」と言われてつい「いいの?」と聞き返したわ。

 というブツもあったせいか、夏休み明けの千秋はオシャレだ。

 髪にもライトが入って、暗さ軽減。もともと髪型綺麗にカットしてととのえてるのが千秋だけど。

 それに対して鎮(こっちが兄)はこの夏中うろなからほぼ離れず、バイトに家の世話に、彼女の家の手伝いに(付き合う前から普通にやってる気もするが)勤しみ、いちゃつき続けていたのだ。微笑ましいを通り越してリア充滅べ。貴様も受験生だろうと叫びたいほどに。

 ここの鎮と千秋の仲違いは基本今に始まったわけでなく、またか感が強い。

 千秋が愛情行き過ぎがゆえに苛めて、鎮に天然な仕返しをされる。の繰り返しだ。

 いい加減折り合いつければいいのにというのが仲間内の意見だ。というか、鎮に恋愛という意味でお相手が出来たのが奇跡だ。千秋も幼馴染相手には妨害できないんだなと、人間らしい部分を見つけた気がしてほっこりする。

「イベントでプレゼント貰えないよーに根回ししてんのばれたか〜?」

 つまり、原因は十中八九千秋自身だ!

「あいつ、……妨害してみせろって言ったら、参考書開いてる横で、ニコニコちょーご機嫌にひたすら、ひたすら、空ねぇの可愛らしさや萌えポイントを語り続けやがった。八月中は耐えたさ」

 うっわー。

 キてるわ。

「言っていい?」

「ダメ」

 いや言う。

 指差して言うともさ!

「自業自得としか言えないねっ!」

 八月中はって、千秋(あんた)帰国して来たの八月の末の方だったのに!

 やっだ〜。

 笑う〜。

「言いふらす?」

「もっちろん!」

 こんな面白い話!

「言いふらすのは控えるわよね。鎮が空先輩にベタ惚れなのは日頃の行動からわかってるコトだしね。ネタとしては寝かせた方が面白そう! 受験煮詰まった時の息抜き話題に使うわよ!」

 ビシッと指差すと嫌そうな表情。

「指差し良くない」

 何時ものやつだった。

 かーさんもそこまでうるさくないわよ?

 時々、お前は先端恐怖症かと言いたくなるが、そうでもないらしい。

「そーゆーわけでかわいい後輩をよろしく」

 私は休み明けの試験に向けて忙しいのよ!

 その後は受験勉強よーー!!

「今から焦ってどうなるんだか」

 千秋の呆れた声はスルーする!

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より青空空さん話題でお借りいたしました。

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