雑談と夏休みの友
「うーん。千秋さんはツンデレMですね」
恭一郎がコーヒーを飲みながらぽつんとつぶやく。テーブルには多分お互いの課題が広げられてる。めんどくせぇ。
「恭。どこからの発想だよ」
「見ていてですよ。青空さんちのお嬢様方はさりげなくSですねぇ」
カップをおいて息を吐く。その時、俺の課題の進みをちらり確認する。うぜぇ。
「経験か?」
「体力気力のギリラインを見定め、終了後に『また、機会がありましたらお手伝いしますね』と気持ちよく言わせる心遣い。スゴイなと思います」
遠くを見るようにしみじみと言ってやがるが、
「それ、お前の外面の問題じゃねーか」
「まぁそうなんですけど。あっさり体力気力の限界値を目算されるってちょっとショックですねー」
「宗から分析されてんじゃねぇの?」
去年の営業時の経験があるし。
「僕と宗は体力気力の配分が違うんですよね。あいつほど、体力はないし、接客切り替えはできるけど、長時間は苦手かな?」
自分の能力を分析して見てるのか、首を軽くねじっている。
「苦手なんだ?」
「裏で何かと段取りしてる方が好きですし」
そう爽やかに笑う。
うさんくせぇ。
しばらく、筆記具の音だけが響く。
間違ってたら、無言でコツコツチェック入れやがる。マジうぜぇ。
「それじゃ鎮は?」
そー言えば千秋はツンデレMって話だったな。一応ここは対比対象もいるだろ。
「鎮さんはねぇ、安定させて方向性を定めて、はじめてSかMかの判断ができるんだと思うんですよ。あの受動性は性癖的なものじゃないっぽいと思われますし。ただ、扱いミスると宗が怒りそうだしなぁ。どちらにしても信頼、信用してもらわないとダメだし、そこまで踏み込むのは手間だしねぇ」
マジ分析入ってねぇか?
きもい。
「やるつもりなんだろ?」
そんな気がする。
「まぁねぇ。技術実験に付き合っていただきましょうか。最終、宗が満足すればイイし」
実験かよ。それに、
「宗が満足するために鎮かよ」
「そうですよ。宗が鎮さんを気に入ってますからねぇ」
「暇だな」
「学生会役員で忙しいんですよ? これでも」
お前、仕事してんのかよ?
「まぁ、せっかくお友達になったんですから、利用しやすい方がいいですからね」
ん?!
「それ、オトモダチか?」
「お友達ですよ。利益と満足のない関係性にどんな意味があるんです?」
薄く笑われる。うぜぇ。
「そこにいて楽しいのは満足感多幸感と言った利益があります。なら、より良い満足感を得るために意見するのは僕自身の利益のためです。それで相手が不快になったらそれまでの仲ですしね」
それ利益か?
「……青春を青春として味わえるのは利益だと思いますよ。鎮さんの幸福は宗の幸福にも繋がります。それは……僕の充足感にも繋がります。そう言う説明が鎮さんのわかりやすい説明みたいですね。実に面白いパズルです」
「パズルって」
「挑戦が楽しいんですよ。コーヒーおかわりです」
こいつ、マジうぜぇ。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より青空家お嬢様方話題にお借りしました。




