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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
593/823

ジークの八月半ば。

 考えるのって苦手。

 流されて好きだと思えるコトだけして生きていきたい。

 チアキが庭に関わるのはわからないでもない。

 上の考える人たちからしたら所有物だろうし、利用法は考慮してるだろうとは思う。

 今回、チアキが会った大半は先代の派閥。かなり手段を選ばない傾向の強い人達。盲信とか狂信の範囲。そうでなければ続けられなかった人達。

 俺の役割はチアキが『嫌い』を彼らにストレートにぶつけて潰されるのを防ぐコト。

 コレカラにはチアキが持ってるバランス感覚があった方がいいからってエルザが言ってた。

 チアキが持ってる感覚は抑止力になるから早期反発されて壊されるのは望ましくない。チアキが抑止力になるコトを望んでる派閥にはマダあまり紹介されてない。彼らも警戒してるらしいから。


 コレはエルザの方針。


 マサトはチアキは一切庭に関わるなと考えていた。

 そして、関わると言うんなら壊れればいいと考えてる。

 マサトは同じ場所に居てキレイなままな奴は嫌いだと言っていた。キレイでいたいなら離れていろと。

 チアキがマサトの影響を受けすぎるのは正しくない。壊れたら抑止力にならなくなるから。

 だからと言ってどういった対応を好んでいくのが正しいかと言えばチアキ次第だとエルザは言う。

 正解のない答えを見守るなんてどんな無茶振り?

 日本に行ったらお姫様の警護もあるのにさ。



 そんな状況を説明したら父さんは、笑ってた。

「おもしろい」

 そう言って。

 お前はどうしたいか聞かれたけど、俺は難しいコトはわからない。

 できるだけ仲良くできたらいいんじゃねぇのって思う。

 父さんは帰れなかった俺に居場所をくれた。

 チアキは父さんも嫌い。

 確かに付き合いやすい人ではないけれど、父さんを否定されて求められる役割をまっとうできるかといえば難しい。俺は考えることは苦手で、気がついた時には動いてるから。


 俺にとって、チアキは友人。

 俺にとって、エルザとマサトは同胞(キョウダイ)

 俺にとって、シーはなんだろう?

 無条件に受け入れてくれて、愛情をくれるはずの存在だった。

 笑ってくれて、抱きしめてキスして、生きるコトを許してくれる。


 キスはダメ。

 あれ?

 それはどうして?


「ジーク?」

「シー?」

 日本に来てから、気遣ったり、エルザとマサトが日本に戻ってくるまで泊まっていってもいいと許可をくれた鎮の深緑の瞳が心配そうに覗き込んでくる。まぁ、放りだされたり、怒られたりもしたけど。

 コツンと額に感じる額の感触。

「体調悪い?」

 近くによってくれてたのに便乗してぎゅっと抱きしめても抵抗はない。

「少し不安」

「んー?」

 シーといるのは安心する。

 迎えにきてもらったシーとチアキが嫌いだ。受け入れてもらってるシーとチアキが嫌いだ。チアキは友人。シーは小さなころからずっと見てた。二人とも大好きだ。

 シーが外に居場所を見つけるのが、イヤだ。考えるのは本当に苦手だ。エルザか、レックスかギブソンがいつも決めててくれたのにエルザがいない。ミツルもマサトがいないからイラついてたし。

 涼しい顔をして気にしていないシーが

「ズルいなぁ」

「んー。ずるいよー」

 あっさり笑顔で返事が返る。

「帰ってきてほしいなぁ」

 シーの方が年下で守ったり庇ったりしてやらなきゃいけないのはわかってる。俺が言ってるのはわがまま。迎えに来てもらった家族と過せて、恋人もできて、進みだしてる仲間ファミリーへの嫉妬だ。

 本当は応援して見守らないといけない。そう考えるとイヤだと思ってしまうんだ。

 だから考えることは嫌い。

「空のそばにいたいんだよ。今さ、空が一番大事。だから、なんかしたらさ。……怒るから」

 柔らかく言われて、ゆっくりと言葉が落ちてくる。

 そっと覗き込めばにこりと笑ってくれる。

「怒るから、ジークのコトを見ないから。空を傷つけるんならいらないんだよ」

 じっと見返してくる眼差しは冷たい。

 すぐにふわりとやわらかくとける。

「セクハラもダメだからなー」

 え?

 セクハラは普通にダメだろ?

「下着ネタジョークはセクハラだ!」

「対女の子会話っ」

 ワタナベさん直伝だよ!?

「ミツルやエルザがごーかく出すまで女性陣に接近禁止な? 俺や千秋が仕込んだって思われるからさー」

「ビーチも!?」

「ビーチも」

 驚いて確認を取れば、しっかりと念押しされた。

「シェリーの護衛時は?」

「芹香の許可とって発言ならいいんじゃね? 一緒ならあいつも突っ込むだろ」

「ところで、」

 ちょっと思ってたことがあったので聞くことにした。

「んー?」

 用は済んだとばかりにシーが離れる。

命綱ワイヤーなしでウォールクライミングやっていいか!?」


却下エヌジー

 シーは冷たかった。




『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より話題に空ちゃんお借りしました

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