表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
588/823

七月末のどっか

「空は俺でイイって言ってくれる。俺がイイって言ってくれる。空が俺のなのが嬉しいし、でも俺でいいのかがやっぱり不安なんだ。自分がダメなのはわかってて、でもどうだからダメってうまく説明できなくてさ、説明できればいいのに、何を言ってイイかわからない」

 一呼吸おく。

「俺とさ、千秋ってさなんか噛み合わないことが多いのは確かでさ。たぶん、原因って俺が理解できないからだと思うんだ」

 ぶらりと足を遊ばせる。

「はじめてあった時に、すごく笑顔が綺麗ですぐ好きになったけど、千秋には俺がいらなかったんだ」

 手を伸ばして、笑ってくれたのに、間をおかずに嫌われた。

「三歳か四歳だったと思うんだ。それまではお互いがいることなんか知らなかったんだ。ランバートにいさんも何も言わなかったしね。後で聞いたんだ。ちょっとした環境実験だったって。同じように育つのか、引き合わせてからうまくいくのかってね。えーと幼児体験が与える影響力がどーこー説明してたかな? ま、検証実験の協力? 母さんが俺らの世話をできる精神状態じゃなかったらしいし、ギブアンドテイク、かなぁ。だからさ、会うまでのお互いの生活なんてお互いに知らない。ちっさかったし、いつだって人がいて、一人になることはタマにしかないようになったけどさ、『そうあるべき』は守らなきゃいけなかった。嫌われてるけどさ、千秋は俺が要らないわけじゃなくて、俺にはよくわからなくなる。誰かの、反応なんかわからない。自分が感じてるのはたぶん、混乱だと思う。だから、うまく説明ができないし、自分がわからない」

 言ってて、ホントにそう? と自分で疑問がわいてくる。

「でもさ、空とは今だけの付き合いとかってつもりじゃなくて、ずっと一緒にいたいって思うんならさ、伏せる情報と、告げるべき情報はできるだけ決めたほうがいいって忠告貰ってさ、連絡先に泊めてくれるおねーさんたちのアドレス多いって言うのはやっぱりまずいのかなぁ? やましいことは何にもないんだけどさ。やっぱ気になるもん? 小梅センセ」

 隼子ちゃんとか、ライフセーバーのおねーさんたちとか、たまたまあった人とか、桐子さんとかいろいろ。

「聞くってことはまずいと思っているんだろう?」

「まずいって仄めかされたからそう思ってるだけ。だから、えっと、参考意見聞きたかったんだ」

 じっと見つめられて困る。

「うん……。空に話す前にさ、ちゃんとまとめれるかわっかんなくてさ」

 たぶん、俺は答えを求めてるわけじゃないんだと思う。ただ、方向の指針とか間違いじゃないかが怖いんだと思う。

「あー。もう……。みっともねぇの」

 ふと時計を見れば、清水センセが朝のランニングから戻ってくるであろう時間だった。

「んじゃ、おじゃまさっまー」

 空と早朝デートだ。

「鎮」

 呼び止められて振り返る。

「みっともなくても、迷っても、間違ったって、それは間違いじゃないんだぞ?」

 向けられた眼差しはまっすぐで、気遣いが見える気がする。

 でも、

「迷うのは良くても、間違いは間違いだからやっぱダメなんだと思うよ?」

 間違ってるから、うまくいかなくて、間違わずに済むからなんとか生きていけるんだ。

 そこを変えることができないんだ。変えなきゃ駄目なのかと尋ねたりはしない。どんな答えが返っても困ってしまうのがわかってるから。

「また顔出すねー」

 困ったような苦笑い。

「今度は撮った写真見せにこい」

「いいよー。厳選して持ってくる」

「人物写真も、か?」

 え?

「ないない。空の写真を見るのは俺だけでいいの!」

 じゃあねと手を振って敷地から出る。

「お?」

「おはよーございまっす。お邪魔しました~」

 ちょっと出遅れたかぁ。

 清水センセに挨拶をして浜へと帰る。

 空との時間、空にうまく伝えられるかなぁ?

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

青空空ちゃん(名前のみ

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

清水司先生(小梅センセ)清水センセ(ちらっと

お借りいたしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ