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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
587/823

8/23 久々の快晴 洗濯日和

 長い棒の影が幾度も振り降ろされる。

 ヒュッと風を切る音。

 踏み込みの音は聞こえない。

「ジーク、怪我はいいのか?」

 真剣に集中していた表情がガラリと壊れる。

「シー。一緒に遊ぼう!」

 ブンブンと雑に物干し竿が振り回される。

 うん。

「返せ」

 俺は洗濯物を干しに来たんだ。

 いまは昼日中。いま干せば気持ち良く洗濯物は乾くだろう。今日はマジ久々のお天気で必死に天日干し中。

 ジークは芹香がこっちに帰ってくる時に一緒に来日した。


 盆の入りあたり、雨の続く日でARIKAも旧水族館(ウチ)も少し暇ぎみ、そんな中、「ただいま」とARIKAの方に芹香は飛び込んで来た。

「千秋兄はおいてきた」と汐ちゃんにとびこんだあと胸を張って言う。

 エルザと帰ったのかと視線を回せば、薄い銀髪の青年がじっと見ていた。

「……ジーク?」

 呟けば、突進された。

「シー!」

 とりあえず、迎撃した。

 下方から聞こえた舌打ちの音、小さな悪態。

「あ」

 すぐに芹香や汐ちゃん、琉伊君の視線が集まってることに気がついてごまかすように笑う。

 小さな子供のそばで悪態はつくもんじゃないよな。

 立ち上がって、ヘラッと笑うジークを指差して芹香が、

「コレはジークっていうの。向こうの現場でバカなことばっかしてたから飛ばされて私の下僕なの!」

 えへんと胸を張る。

 笑って否定しないジーク。後で千秋にばれたら叱られること決定だぞ。芹香。

「ちょっとバイクでロングジャンプしようとしたら、踏切用の板が壊れてさぁ、プールにドボン。心狭いよなぁ」

 トラブル後のプール清掃、大変だったろうな。ジークの言い方からしてかなり叱られたらしい。

 そういえば小さい頃から無茶が多かったっけ?

 木が多い坂道にビニールシート引いて上から水を流してウォータースライダーとか言ったりして……、全治二週間だっけ?

 ちょっと回想してたし『そんなこと』を口にするとは思ってなかったから、反応が遅れた。

 理解した瞬間、のして連れ出した後、話を聞けば半泣きで答えた。

「だって、ワタナベサンとサトーサンが日本女子とすぐフランクになれるジョークだって……。……がんばっていろいろ聞いてきたんだ」と力なく説明するジーク。

 早く仲良くなる努力をしたいと続けるジークの肩を軽く叩く。

「シタギ、ネタはやめとけ」

 こいつが来日前に遊ばれてたことはわかった。

「え!? そうなの?」

「シタギ、セイヘキ、うーんまだNGワードはあるかなぁ?」

「ぇええ!?」

 派手に落ち込むジーク。お前の対女性用単語網はどうなってるんだ?

「カワイイヤマトナデシコと仲良くなるために頑張ったのに」

 えっと、恨めしげに見られてもね。努力が全部報われるとは限らないし。

「シーの彼女も紹介してもらってない」

「空にちょっかいかけたらただじゃ済まさないからな?」

 不満そうなジークに釘を刺しておく。

「……じゃっぱにーず、ワッカりっませーん。ありとーるりとるー」

 ふざけた対応されたので、雨の浜に蹴り出しておいた。



 洗濯物を干してしまって、少しだけ運動に付き合う。

 バイクによるロングジャンプチャレンジの時に腕にヒビを入れたとかで、現場からはずされたと笑う。

 でも、それで芹香そば配属なら左遷とも言いにくい気もするなぁ。


「あの階段をボードで滑り降りるの楽しそうだなぁ」

 こいつ、磯に突っ込む気か?

「ワイヤーなしでニンジャみたいに壁登りとかっ!」

 海に沈めた方がいいんだろうか?

「チアキ、もうじきこっち来るってさー。現状情報制限はまだうまくいってっかな~」


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

海の家、青空家

お借りいたしました

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