8/25 早朝タイム
朝の五時。
ザラザラとシリアルを皿に入れて牛乳を注ぐ。
冷蔵庫のタッパーからカット野菜を引っ張り出して、リンゴジュースの紙パック。……残量はコップ一杯分もない。そのまま口をつけて飲み切って、新しい紙パックを選ぶ。オレンジでいいか。
「あ。俺も〜」
「んー」
コップを渡しつつ、頬に軽くおはようのキス。
「さんきゅー」
言葉とともに返ってくるキス……。
ぅん?
えっと……?
あ。
「環境ボケした」
「えっ!?」
ひらひらと何かショックを受けてる鎮に手を振る。
「ここ日本。むこう式朝のあいさつはなし」
「ちーぇ、よく寝れたかぁ?」
え?
それ聞く?
「時差ボケ対策にさ、眠いの我慢して夜寝るつもりで帰ってきたさ、電車でうとうとしてヤバかったけどさ。帰ったら、おかえりじゃなくて、芹香がタックル。鎮は空ねぇとおかえり言ったあと、どっか消えるし、うち入ったらジークがキッチン荒らしてるし、芹香にサッサとシャワー浴びてこい急かされるし、ゼリー構いたいのにどっかいってるし」
「あ。ゼリー散歩連れてってた。空と」
……散歩は必要、だからね。
「シャワー浴びて部屋でくつろいでたらゼリー帰ってきて、構えたからいいんだけど、なぜか芹香が部屋に突進してきてさぁ、一緒に寝るながれになったんだよ。真剣に部屋にエアコン欲しい! 俺のクール寝具はどこに消えた!?」
「あ、それはわかる〜。寝具はジーク、かな?」
「布団に包まった小学生と、ふわもこわんことだぞ?」
クソ暑いっつーの。
お前、寝れるのか?
あ、寝てそうだな……。
突っ込まないでよかった。
「昼寝すんの?」
「いや、二学期の準備の確認。ボケてそうだから大人しく、……」
チラッと見えるキッチン。片付いてはいるけれど、ちょこちょこと配置が変わっている。
「今日は家事しとくよ」
変な時間に寝ると生活パターン崩れるし。
今夜はクール対策の寝具冷蔵しとかないとな。課題はやったし、まぁ、進学も決着したから、田中先生の方に報告しないとな。で、今日中に役場に行ってあのカツラを返却する!
芹香連れて謝らせないと。
えーっと荷物が届くのは今日か明日、だったよな。
荷物を出して整理とばら撒き用の土産と……。
「あれ?」
「どったの?」
バターロールに具材を挟んでいく鎮。朝飯はサンドイッチか。
「いや、思ったより予定きゅうきゅうで驚いてるだけ」
「随分、むこうにいたもんな」
「うーん。会わないといけないのに都合がつき辛い人が何人かいてさ」
「そっかー。一回安眠した後に聞きてーな」
「うん。そーする。朝デート? あんま、空ねぇに迷惑かけんなよ?」
「わかってるー。だから相互理解のための朝デート~。いってきまっ」
見送りつつ、ふやけたシリアルをすくう。
「おはよう! 千秋兄! ラジオ体操の前にゼリーの散歩でしょ?」
「おはよ、そーだよ。とりあえず、コップもってきなよ。朝一のフルーツジュース」
駆け込んできた芹香にむけて紙パックを揺する。
ぱたぱたとコップを取りにいく芹香の様子を見ながら思う。鎮、なんかで折り合いつけたのかなぁ、と。理解できないままおいておきたいわけじゃない。
当面、進路の方向性がお互い安定すれば話すこともできるかとも思う。
向き合う方向、距離。自分自身の立ち位置。考えることは多いなぁ。
とにかく今は眠い!
芹香のコップにジュースを注いで、自分用にインスタントコーヒーを入れる。
「いろいろさ、考えんのは二学期入って一息つけたらにする」
ことんとテーブルにコップをおく音。
「二学期からの方が忙しいんじゃないの?」
「ま、なんとかなるんじゃないかな? 今日は町役場行くからね。企画課の人に持ってきちゃってごめんなさい、ちゃんとするんだよ?」
「えー」
えー、じゃないよ。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
空ちゃん、話題にお名前だけ。
『ばかばっかり!』
http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/
より納涼肝試しねた。を話題にお借りしております




