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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
585/823

8/24 肝だめし参加♪

『ばかばっかり!』

http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/


8/24『第二回納涼肝試し大会報告書』http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/34/

とリンクさせてもらってます

「空の悲鳴!?」

「しーちゃん」

「みどり?」

 袖を引かれて視線を合わす。

肝試イベントしだから」

「うっ」

 言い聞かされ絶句する。チラッと見回すと微妙に生ぬるい視線。

「別行動、かぁ」

「クジだしね」

「ぁ、空の悲鳴?」

 遠く響いた声が空の声に聞こえて仕方がない。

「肝試しだから。メール、禁止ね」

「みどり……」

「あ、二組目だから」

 行くしたくをはじめた碧がするりとお守りのように握ってたスマホを抜きとる。

「俺のケータイ……」

「空さんに渡しとくから。予備機もってないよね?」

 確認されて頷く。流石に予備機は自宅だ。

「おかちー、行ってくるねー」

 千歳ちゃんに早くと急かされてる澄先輩も諦めろとばかりに手を振ってくる。

 当の澄先輩も田中先生とバラされてがっかりしてる。今回の組合せ、恋人及び夫婦ものは見事にばらけていた。クジだし仕掛けがあったと思えないのに作為を感じる。

「……これが霊障?」

「違うから」

 大人組から突っ込まれた。


「琉伊が空に伝えておくのだ!」

 河童……もとい魚沼さんにじゃれついて寛いでいた琉伊君が偉そうに宣言する。昼間はけっこう浜でうとうとしてることも多いのにやたら元気だ。今朝も「キモだめしってなんなのだ?」ってわかってない琉伊君に渚ちゃんが説明してたっけ……。

 同じ出発組仲間である天音ちゃんの手を引いて「琉伊がエスコートするのだ」とか言ってるのは小さな紳士ぽくてかわいらしい。

 しかし、そこ順番はマダだろ。

 きょろりと見回して「渚がいないのだ……?」と首を傾げている。琉伊君は渚ちゃんに一番なついてるからなぁ。

「そーいえば琉伊君は夏休み終わったら帰るの?」

 なんか、青空の家にいるのは知ってるけど。

「琉伊はまだ陸や汐のとこにいるぞ?」

 不思議そうに宣言される。

「んじゃ、四月には小学生?」

「琉伊はそんなに小さくないのだ!」

「んじゃ、北小に汐ちゃんと通うんだ?」

 なるほど。

「え?」

「琉伊君、出発だって。合田先輩、よろしくお願いします。……楽しみですね」

 天音ちゃんが静かに合田に出発を促している。気持ち楽しそうだ。

 見送って順番を待つ。俺は汐ちゃんと田中先生とだ。

 あれ?

 今、「え」って?


 いくつかの疑問を残しつつ、納涼肝試し大会は終わった。

「あとででいいからちゃんとそのかつら、返しにいっとけよ?」

「わかってるもん。お化けに驚いたんじゃなくて変態じょそーに驚いたんだもん」

「わかってるわかってる。怖い話もへーきだもんな」

「セリちゃん、こっちおいでよ」

「へーきに決まってるじゃない!」

「ほら、夜なんだからおっきい声出さないの」

 ぷぅっと膨れる芹香になだめる碧。


「夜にさ、ふっと着信があるんだ」

 そっと声のトーンを落として囁く。

 注意を引けたのを確認して続ける。

「どっかで読んだ話、だよ?」

 こくりと頷く芹香。

「鎮兄の趣味だよね」

「そうそう。それでね、その人は夜道を歩いてたんだ。で、着信があってケータイを確認する」

「着信があればそうよね」

「ところがね、」

 ぽろん

 聞き覚えのない着信音。

「画面を見ても通知者がまるで知らないアドレスなんだ。迷惑メールかと思って放置してるとね、また」

 ぽろん

 芹香が手提げからスマホを引っ張り出す。

 履歴がついてるらしい。

 ぴたりと動きが止まる。

「そう、そんな風に鳴ってね、本文を確認してみたんだって」

「…………それで?」

「そこにはわけのわからない羅列と意味の取れる単語が、その単語は」

 ぽろん

 碧がそっと芹香の肩を叩いて、「スマホ貸して」と要求している。

「しーちゃんはそこまでだって」

 そこまでって?

「肝試しの後に怪談することないだろ?」

 視線の先は空。

「怪談ってわけじゃなかったんだけど、怖かった?」

 繋いでた手からは怯えてるような感じはなかったけどなぁ。

「こんなタイミングで不明アドレスからの着信ありなんてできすぎ。何か手を回したよね? しーちゃん」

 ひどいなぁ。さすがに誤解だと思うんだけどな。

「セリちゃん」

 スマホを返しながら画面を示す碧。

「ちーちゃん、帰って来たって」

 ひったくるように奪ってメッセージを確認して、俺と碧と画面をぐるぐる。

「なんで、知らないアドレスでメールしてくんのよ!」




「知ってたよね」

 そっと空が耳打ち。

 そっと芹香から視線を外して空を見る。

 空を見てると目を放すのがいやになるから、他に人がいる時はちょっと視線を外しぎみ。

「千秋が帰ってくること? うん。知ってたよ」

 今千秋が持ってるスマホの本体はジークので、ジークが今持ってるのが千秋のだ。

 

「早く帰るよー」

 芹香が手を大きく振り回す。かつらを持ったまま。

「うん。あのシルエットはホラーっぽい」

「千秋兄、驚くかなぁー」

 ぎゅっと空の指に俺の指を絡める。

「帰るんなら、ちゃんと送っていくから」

 もう少し一緒にいたい。言葉にならない言葉が届いたように握り返される指が嬉しいんだ。



『ばかばっかり!』

http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/


8/24『第二回納涼肝試し大会報告書』http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/34/

での出来事および後話。


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空姉妹


『うろな担当見習いの覚え書き』

http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/

『うろな2代目業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n0460cb/ 

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

合田くん、直澄さん、田中倫子先生

『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』

http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/

魚沼夫妻をお借りしました♪

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