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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
579/823

依存中です

 六日は時間の許す限りそばにいてもらった。

 触れてもらってキスを交わして体温を感じてるのが幸せだった。

 はなれるのがいやで帰したくなくて気持ちぐずってかっこわりぃ。

 それでもやっぱり離れたくない。


 そばにいないと不安。


 間違ってるんじゃないかと思う。


 家に帰るまでについメール。

『そばにいてくれてありがとう』


 空と距離が離れると思った以上に不安が募った。


 千秋に止められるまでもなく、これは迷惑になると感じる。


 文面を打ち込もうとして指が微かに震えてることに気がつく。

 こわい。

 失うところだったのが怖い。


 大丈夫だと思った。

 空が大事だと思ってた。

 優先できると思っていた。

 優先、したのはしたんだと思う。

 あの時の表情・色は俺だけのものだった。

 いろんな空が見たかった。


 でも、それは望むべきものではなかった。


 同じ場所にいて、だから抱きしめてくれて、「ワガママでいい」と認めてくれて。



 離れたら、怖くならない?



 仕方ないんだと思う。


 そう言うコトを、俺はしたんだ。

 思考が空回って文面が出てこない。


 空のそばがいい。

 空がそばにいるのがいい。

 言葉がなくてもそばにいてくれたら嬉しい。

「そーら。今だいじょーぶ?」

 気がついたら通話を押してた。

 出た声はたぶん、軽い。

 そして思いついたこと。

「ね。なんか喋って。録音したい。空が都合つかない時も、空の声が聞きたい。……俺のコト、こわいって思ったら言って。やっぱり」

 声が震えそうになる。

 カッコ悪い。

 そう言う格好(スタイル)は千秋ほどのこだわりはない。

 それでも、好きな相手にいい自分を見て欲しいのに、どんどんかっこ悪いとこばかり。


 かっこ悪いどころか、酷いところ。

 それなのにこんな甘えが許される、のかな?

『鎮くん』

 震える声。

 やっぱり、こわい?

『……こわいんじゃないの。恥ずかしいよぅ。あ! もうとってる?』

 慌ててる様が想像できる。

 きっと赤くなってわたわたしてるのかな?


 ちょっと、落ちつく。


「まだ。……不安になったんだ。要るって言ってもらってるのに安心をたくさん欲しがって、身勝手でイヤだなって、空が遠いと不安なんだ。会いたいし、そばにいたいし、声が聞きたい。でも、いつもってわけにはいかないコトくらいわかってる」

 一呼吸。

「だから、空の声もとっておきたかったんだ……。……そら?」



 七日朝。

『ガッコ行きたくねぇ』

 早朝メール。

 普通にふるまえる自信がなくて不安。

 まだ寝てるのかなとは思うから、厳選『空』のフォトを着信画像設定したり、いじる。

 空を画像でも見てると少しはマシ。波打ち際を見て、揺らぐ色を思い起こす。


 着信音。

 画像はわたあめと笑ってる空。

「おはよう」

 重なる朝の挨拶。

『ね、今、どこ?』

 問われて、ちょっと笑う。

「ホテルの見えるトコ」

 すごいなぁと思う。わかりやすかったかな?

 朝、早いのにだいじょうぶ?

 画面を見ているうちに空が走ってくる。

 ああ。カメラ準備しとけばよかったな。

「おはよう。鎮くん」

 朝の挨拶。空の笑顔が眩しい。

「おはよ。空」

 頬にキス、そのまま流れて軽く耳たぶにキス。ぎゅっと抱いて逃がさない。

 朝の表情撮りたかったって告げるとまた赤くなる。

 コッソリ撮った方が自然な表情なんだよね。空は恥ずかしがり屋さんだから。そこも可愛いんだけど。

 そう囁くと空は赤くなってわたわたする。

「でも、不審者通報はイヤだしなー」

 夏祭りの別行動中に小林センセにプチ注意を受けたコトを伝えると、なおわたわたする空。

 コッソリ隠し撮りだもんな。ストーカーぽいよな。うん。

 って俺が悪いんだけどさ。

「メールしていい?」

 学校には行く方向で、それでもそっと甘えたコトを言ってみる。


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空空ちゃん

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

小林先生

お借りいたしました

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