7/5 夏祭りの夜
いろいろとハブられてる人。
はっきり言って不愉快の連続。
伯父さんがとった急な動きについて、身内じゃなく、周りの方が知っていたコト。それでも屋台撤収のあと、花火を楽しむことにする。ちらりと投げられる直樹さんや、澄兄の視線に首を横に振る。
わかんねーし、うまく納得なんかできねーよ。デート邪魔してやろうか?
俺はそんなに物分りのいい方じゃないんだよなぁ。
「あの花火って無料配布なん?」
背後からの飛鳥ちゃんの声に頷く。
「そ。もらってくる?」
「ええよ。行ってくる。今日は頑張って労働しとったし。そんぐらいねぎろーたるって」
「そのまま、付き合わねぇ?」
「花火には付き合うたるわぁ。もろてくるから、水使わせてくれるとこ確保しとき」
「なんで、ジーンズにTシャツなの? 浴衣見たかったな」
「虫に刺されたらいややん。あっちやな。行ってくるわ」
えー。
虫刺されがいやってそんな理由だったんだ。虫除けスプレーとか、リングとかシールとか、対処法はあるじゃん?
花火をしながら聞いてると多少は定時のメンバーで遊んだ後、ばらけたらしい。
「ミホも有坂君と二人っきりにもなりたいだろうしね」
伯父さんの話題を振れば、
「暁兄はしーちゃんに集中してた感じ強いからなぁ。でも、しーちゃんさぁ生死に関する感覚が剥離しすぎてるからある程度仕方ないんよね。危なっかしくて」
……。
「ソレ、どういう話?」
「ぅん? わかちゃん自傷癖あるやん?」
こくり頷く。明るい緑の火花が赤へと変わっていく。
わかちゃんは大阪日生のうちにいるにーちゃんの一人。あそこは問題を抱えたのが多い。適度にスルーした付き合いが一番だった。
「一回さぁ、うちらが遊びに行ってる時、飛び降りやりかけたらしくって止めるのにしーちゃんが落ちたって話とか、後できぃたんよね」
……。
「飛鳥ちゃん」
「んー?」
「他にもそんな話あったりする?」
「うん。そこそこあるっぽいよ?」
知ってるでしょ? とばかりに首を傾げられる。
初耳だよ!!
「後から聞いた話ばっかだけどね。かーさんが苛立ったから『すんな』って言い付けて殴り教育したっぽいけどね」
ばーちゃん。
一学期中に隆維達は帰ってくるとは思えなくて、碧ちゃんに学校一人で行けるかって聞いてムッとされたり、まぁ俺でもムッとするな。帰りにエルザとミラと一緒になったり。
大阪での俺らの行動はあんまり把握されてないらしいコトがわかった。
ミラは『愛人の子が正妻の実家に踏み込むのはみっともないわ』って笑ってた。
増えた知識がぐちゃぐちゃだなぁと思う。
潮風にミラが鼻を鳴らす。
「たっだいまー♪」
「ちょっと寄るわね。お姫様が浜で転んでかすり傷ったらしいから」
ミツルさんが美丘愛菜を連れて出てくる。
「ぉ」
「ミツルさん?」
「いーとこに。怪我と状況説明あるから、千秋が愛菜、送ってこい」
「ひ、一人で帰れます」
むかつく。
押し問答も面倒で。芹香も心配だけれど、護衛対象に怪我をさせてそれほど落ちついてられるとも考えられないから大丈夫なんだろうとも思う。
送って帰ってきたら空ねぇがまだいて。
浴衣じゃなくてワンピース姿。
「おかえりー。千秋ー」
「ち、千秋君、お帰りなさい」
「ただいま」
鎮は電子レンジの前。
「カップケーキ?」
卵と粉を混ぜてレンジ加熱一分かそこらのお手軽おやつのパッケージ。
ちびっ子がたまに食べたがるからおいてある在庫だ。
「ん~腹へってさぁ。とりあえずプレーンにはソーセージとチョコの奴にはバナナをそれぞれごろごろ放り込んだ! 少しは食べ応え増だと思うんだ」
ぉい。
「いくつわたあめ食ってたよ?」
「少々?」
「空ねぇ、将来栄養管理までするハメになるよ?」
「あ! 何言ってんだ?! 体調に影響するような食い方するかよ!」
信用のならないことを吼えている鎮をスルー。冷蔵庫からジュースのボトルとチーズのケースを引き出す。チーズは満タンには一箇所だけ欠けてる。もう二箇所外せば半円。
鎮の前にチーズをふたつおいて、
「じゃ、おやすみ~」
空ねぇはお泊りなのかな?
『うろな担当見習いの覚え書き』
http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/
『うろな2代目業務日誌』
http://book1.adouzi.eu.org/n0460cb/
高原兄弟ちらり
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
青空空ちゃんちらり。
お借りいたしました。




