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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
561/823

7/5 夏祭りデート 【アイドル!】

 戻り難い状況。重ちゃんが空と時間を作るのはおかしくはない。

 よく見れば宇美ねぇもそばにいたし。

 視線を巡らせて、どうにか回避できないかと思う。

 重ちゃんは苦手だった。ミホちゃんや他のねーちゃん達とは違うから。

 どこか息苦しい。

 空のそばにいれば落ち着けるのに。

 さーやちゃんがお祭りをエンジョイしつつも伯父さんを見てる。それとゴドじぃとなにかしゃべっている。総督がちらりとその様子に頷いたのが見えて、あれっと思わされる。

 振り返れば一瞬、恭くんもその動きを見ていたのがわかる。動いた動線の先はミツルだった。

 何気無い動き。少しだけの不自然さ。

 それは見覚えのあるメンバーが主流。

「鎮さん?」

 気がついた恭くんが視界を遮る。

「なんか、あんの?」

 苦笑する恭くん。

「秘密です。誰が、どこに属してるかは大事ですよね」

 まぁ確かに大事だとは思う。少なくとも何かあることはわかった。

「僕の知る限り、誰かが危ない目に会うようなことはありませんよ」

 安心させるように囁かれる言葉。戻らないのかと空のいる方向を指される。ちょうど、重ちゃんが澄先輩の方へと向かうところだった。

 公志郎君は今、隆維・涼維と遊んでるぽい。柊子さんが少しだけ寂しそうだけど、お祭りだしね。

 楽しそうな空が俺を見てふわんっとほころぶ花のように笑う。

「遅くなってごめん。重ちゃんに萎縮してた」

 空の耳元に囁く。

 困ったような微笑。

 舞台では炎上系アイドルが迷いを振り払うかのように歌う前のみんなへのメッセージを語っている。

 まるで、引退宣言にでも流れそうな語り口に疑問のこもった空気が混じる。

 それでも笑顔で言い放たれた言葉は、決意は、前を、自分の夢を追い求めて行くという眩しいもの。


「アイドル活動を、辞めません!」


 コミカルな反応の後、その眩しい思いを聞いた会場は柔らかな空気な気がする。

 頑張れと素直に思えるから。

 吹っ切った想いを伝えるように歌声が広がる。

 洗練された技術は無く、歌唱の天性があるとしたらまだ未開花。

 それでも、応援したいと、頑張れと思える魅力がある。

 さーやちゃんが言ってた。

 実力も大事。才能も大事。何よりも惹きつける魅力が大事。

 華があるということが大事だと。

 惹きつけられ、見守りたいと思える魅力。

「きっと、うまくいくよな」

 囁くように言えば、腕に感じる重みと感触。

 歌を聴きながら、そっと空と寄り添う。


 歌が終わった頃にゴドじぃが隆維と涼維に何か囁いて、聞いた二人が顔色を変える。

「空、ちょっと気になるから……。待ってて」

 頷く空、気がかりそうな柊子さん。怪訝げな宇美ねぇ。

 多分、コレが何かなんだろうなと思う。危険はないって言ってたけど、それは恭くんが把握している範囲だけの情報だ。

 少なくとも、二つのグループが動いている以上、情報が正確な保証はない。

 知らないとこでどっちかが危ない仕掛けに出る可能性もないとは言えないし。

 って、その場合、誰責任?



 恭くんが公志郎君に知ってるか聞かれて、半分くらいは話しても構わない。そんな空気を示しながらの対応。

 恭くん達のお父さんは隆維達の名付け親の人のところで働いている。ある程度はそっち系かと察しはつく。

 喋りたくない風を装っているのは、たぶん、簡単に情報を開示するのが嫌いなのとからかってる悪戯心だと思う。

 告げられた言葉は納得できた。

 伯父さんが無理矢理にでも『これはダメ』『かくあるべき』を示してくれたから何とかここまでこれたから。

『自分で考えなさい』と言いながら『お兄ちゃんだからね』と、そうあるべきであろう道を示してくれた。

 それが隆維が、涼維が伯父さんを認められない事態に繋がってるなんて気がついてなかった。

 それを何とかしたいと望む家族は大事だと思う。

 家族の和解とバランス。直樹さんもある程度の説明でわからなくはないという表情で。

 状況に安心した俺は恭くんに促されるまま空の元へと戻る。途中で配布されてる手持ち花火を受け取って。

「ミラも一緒でいーい?」

 ちょっと驚く。

「なんでいるんだ?」

 一緒にいくんだろうと思ってた。

「ミラはぁ、愛人さんの娘だから正妻さんの実家には近づいちゃダメなの。だからこっちでシアちゃんのお世話なの!」

 ニコニコ笑って金の髪を揺らす。

「寂しくないか?」

「シアちゃんもいるし〜、千秋も、しずも芹香もいるわ! ミドリもチールもね」

「千鶴ちゃん。発音、難しい?」

 力いっぱい頷かれて苦笑がこぼれる。

「ミラちゃん、デートはそっとしておいてあげましょ。ちゃんと私がみとくワ」

「エルザ」

 ひらひらと追いやられる。

 ミラもにっこり笑って頷く。

「芹香や千秋や、山辺のおにーちゃんたちのそばにいるー。でも、千秋おもしろくなさソーダけどいいの?」

「んー。恭くんがあんまりからかわないでくれるといいんだけどな」

 こっちを覗き込むように様子をうかがっている空を見てると自然と笑顔になる。

「花火もらってきた」

 声をかければ公志郎君が手をあげる。

「バケツ借りて水汲んできたー」


 さぁ、花火だ。



『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空空ちゃん【デート中】


『アクセル!-新人アイドル奮闘記!‐』

http://book1.adouzi.eu.org/n6038cb/

http://book1.adouzi.eu.org/n6038cb/20/

夏祭りライブ話。

夏音ちゃんのセリフ



『うろな担当見習いの覚え書き』

http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/

『うろな2代目業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n0460cb/ 

高原直樹さんちらり


お借りいたしました。


今回デート回になんか糖度低いというか、離れすぎ。


まだデートは終わらない。

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