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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
560/823

7/5 夏祭りデート【ライブ中】

 聞くのは『DQN's』のライブ。

 ビンゴ大会で一番乗りした瀬島蒼龍と妹ちゃんが組んでるユニットだ。

 瀬島は低身長をいかした女装男子。妹ちゃんは高めの身長で寡黙なスレンダー麗人。といった感じ。

 二人とも綺麗な声の持ち主だ。

 去年の『ARIKA』(そばのビーチ)でのライブを思い出す。空可愛かったなぁと。

 妹ちゃんはアニメ声なのを気にしているって言ってたけど、うーん。

「空〜」

「なぁに?」

 歌にのんびりうっとり聞き惚れてる空をそっと呼ぶ。

「アニメ声って何?」

 声は個性だし、それなのにあの時の言い方は受け入れられなくてもおかしくないって反応だったように思えて実は疑問だった。

「アニメのキャラみたいな声って意味かな? 基本そのまんま」

 公志郎君が答えてくれる。

「つまり、プロみたいな声?」

 どこが否定の材料になるのかわからなくて首を傾げる。褒め言葉ぽいよな?

「人の才能なんか妬みの対象とされたら本来、褒め言葉でも嘲りになるよ。受け取り側の心の問題もあるしね」

 そっかー。むつかしい。

「可愛らしいお声ですよね」

 柊子さんの言葉に同意するように頷く空。

 にこにこほのぼのと空気が暖かい。現実の気温は暖かいじゃなくてあっついだけどね。


 りんご飴とのこりのわたあめを引き換える。食券の消費だ。わたあめ売場で薄緑の砂糖の雲に割り箸を時々突っ込んで形を操作してる千秋。

 バレたのか。ばれない理由はないよな。あんま怒られなくてよかったな。

「怒られたよ」

「しろくま作って」

 薄緑の魚わたあめ(よく見ればイルカっぽい)を汐ちゃんに渡してる。ジロリと俺を睨むとザラメを機械に投下していく。食券を汐ちゃんに渡して囁く。

「機嫌、悪くね?」

「るせ。汐ちゃん、目の部分のチョコが左右違う色でごめんね」

 お口で溶けて手で溶けないが売りのチョコだ。なんか、目のパーツが本格的に用意されてる?

 嬉しそうな汐ちゃんに芹香が手を振る。

 鈴音ちゃんの横にいるのは、恭くんだな。特に誰も気にしてないっぽいけど。

 恭くんに渡されたのはスポーツドリンクとお茶系が入ったコンビニ袋。

「さんきゅー」

「どういたしまして」

 ドリンクを汐ちゃんにも渡してからふらりと空たちのところに戻る。途中ちらりと舞台(ステージ)を見やるとライブはかなり盛り上がってる。

心も自然と緩むよなぁ。

「歌とかってやっぱり楽しいよなー」

「そうですね。心に余裕があれば響くこともありますね。お祭りの空気もありますし。で、鎮さん、早川英君ってどの子でしょうか?」

 ニコニコと聞かれる。

 うん。嫌な感じするから、

「内緒」

 って伝えたら、今、横向いて舌打ちしたね?

「おい」

 声をかけられて振り返る。声は有坂。

「やっほー。シズちゃん。浴衣似合うねー。でも、ミホもかわい〜でしょー」

「ミホさんお似合いですね」

 あ。恭くん、猫が増えてる。

「あ。久しぶり〜元気そーだね」

 きゃいきゃいはしゃぐミホちゃん。

「千秋にわたあめ奢らせたんだー」

見て〜見て〜と差し出されるピンクのわたあめ。俺に差し出したら食うぞ?

「最近、バイトしてんもんなー。いいんじゃね?」

「シズちゃんはぁ、空ちゃんとデート? あんま、ほっといちゃダメだよぉ〜」

「お。そろそろ戻るわ〜。有坂はタバコやめとけよー。匂いするぞ?」

 ミホちゃんに対応しつつ、気になったから有坂に声をかけておく。反応はへっと興味なさげ。マジ締められっぞ?

「お前、あそこに戻れんの?」

 え?

 有坂の謎発言に空のとこを見る。柊子さんの日傘。そのそばに空がいる。じゃあそばに戻んねぇとだ……か、重ちゃん?


 なんでいんの!?


『うろな高校駄弁り部』

http://book1.adouzi.eu.org/n7660bq/

瀬島蒼龍君

大神義愛ちゃん

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

青空 空ちゃん 汐ちゃんをお借りいたしました。

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