7/5 夏祭りデート【待ち合わせ】
待ち合わせ。空が少し怒ってるから必死になだめる。
待ち合わせ場所にそわそわ来る空。時間は約束の時間より早い。
きょろきょろしてる。時計や空を見上げる。首を傾げたり、少し大きめの荷物を持ち直したり、服装を見直したり。約束の時間。
表情が心配そうに変わる。そっと曲線の甘い携帯で時間とメールの有無を見てる。一分過ぎ。
後ろに回ってそっと背後から手を伸ばす。
「そーら」
驚いて振り返ったところを切り撮る。そのまま抱き込む。
ゆれる髪。ふわりとした夏用の生地の感触は頼りなくも優しい。
「おはよ」
浴衣が入っている荷物を抜き取りながら赤みを帯びている耳に、こめかみに、首筋にキスを落とす。
「おはよう」
あげかけた悲鳴を忘れたかのように恥ずかしそうに微笑んで朝の挨拶。
場所を変えて撮っていた朝の画像データ。後半のデータを見せないようにしようとしたら、「見せて?」つい、止めれなくて。
空が来るところから、待っているところまで撮ってたのがバレタ。
「ずっと?」
じぃっと見上げられる。かわいい。
「うん」
十五分分の空のデータ。
どの空も実物ほどじゃないけどちゃんと可愛く撮れてる。
なんでか空が拗ねた。
「……心配、したんだから」
そう言われて振り返る。
待ち合わせの前十五分。なんだかんだでその時間ごろには一緒にいる。約束した時間には間はあるけれど、いつもならもう一緒にいたはずの時間。
遅れたのは一分。でもいつだってその前の時間。だからこそ何かあったのかと思えてしまう時間。
「ん。ごめん」
首筋にキスを落とす。
「いろんな空を見れて浮かれてたんだ。すっごくたのしかった」
しかたないなぁ。そんな印象を受ける表情。怒ってないのがわかって嬉しくなる。
「でも空はそーいう引っ掛けダメだよ? 俺心配で慌てちまうからさ」
我ながら身勝手な言葉。
「ずるくない?」
笑いながら返される言葉は否定しない。
「空が俺を好きって言ってくれるからワガママしてる。ずるい俺は、嫌い?」
俺のことを心配してるってわかる空を見てるの、嬉しかったんだ。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より青空空ちゃん。




