7/5 夏祭り 朝
早川英
朝の商店街。
途中で小生意気な長船祥晴は中学に水やりにむかう。
どこまで通常運転だ。
眠気に押されつつ公園へとむかう。
同様に手伝うんなら日生先輩達もだけど、日生先輩達には連絡はいってない。
普段なら率先メンバーになる鎮先輩はデートだし、千秋先輩はちびっ子の面倒見てる。
「だいたい、隆維のヤツ体調崩しやすいんだから来るなら九時半ごろにしとけって伝えたって!」そんな風にヨッシーに言われた。つまりあそこの兄弟のうち誰かに伝われば、間違いなく体調を崩しやすい奴や可憐な小学校三年生とかもついてくるってことで確かに邪魔だと思われる。
ちなみに宗はネットデートらしい。ネット彼女かよって突っ込んだら、暑いから移動時間省略って言われた。
ぅん。リアルでも彼女、なんだ?
力が抜ける。
眠い。
愛子先輩がのんびりつまめるものを差し入れるわねと笑ってくれてた。
朝は弱いんだ。
たどりつけば、大人達が準備をしてて変に入れば邪魔な気がする。
見つかって「先についてんのに何ぼーっとしてんだよすぐりんはっ! おはようございます。邪魔しに来た猫の手でーす。よーろーしーくー」
ヨッシーどんだけ早いの? 中学校行ってたはずだよね?
「おせぇ!」
そう言ったのは、確か町の外に進学した合田君。中学時代ちょっと見かけた彼は金髪だったり小梅センセにたてついたりしてた姿が記憶に残る。
「園芸部は普通に水やりやってから来てるんでーす」
気楽にかわすヨッシー。
まわりで笑う大人達。
手伝いにはいんのって苦手なんだよな。それでも笑ってるおっさん達に頭を下げる。
屋台準備のあたりには妙な関西弁が飛び交ってる。
今年もコナモンやるんだと思うと嬉しくなる。去年絶品だったんだよね、役場のにーちゃん達のコナモン。
「ほらひでりん。指示してくれるんだからちゃっちゃっと聞きに行こうぜー」
「お前、年上をなんだと……」
「役立たずは年上でもダメだって。仕事ができてる合田先輩とすぐりんじゃ違うと思うんだ」
ウンウンと頷くヨッシーに「だよなぁ」「確かに」と漏れ聞こえる大人の声。
「体力系じゃないんだよ」
微妙な視線を合田君に向けられる。
似たようなコトを言って他なんて知らなかったんだ。
「猫の手って、駄猫にただでさえ絡まれてんのについてねぇ」
頭を振って顔をあげればまた合田君と視線が合った。
気のせいかな?
理解の色が見えた気がする。
『うろな2代目業務日誌』
http://book1.adouzi.eu.org/n0460cb/
『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』
http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/
より合田君 小梅センセを
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
より作業のお兄さんたちを
『ばかばっかり!』
http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/
より屋台のネタを
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