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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
543/823

七月第一週

 最近の気温は暑いらしい。

 他人事っぽく聞こえるかもしれないけど、ちょっと他人事なとこはある。

 だって、昼間は会社にいるしね。

 会社の中って一年を通して一定の温度。

 昼だって別に会社から出ないし。

 退社する頃には暑いと言ってもピークは過ぎてアスファルトに熱の残滓と沈んでいく夕焼け空。遠く感じる潮の香りが温度を吸い取っている。そんな感じのうろなの初夏だ。

 陽は長くなったなと感じる。


 火曜と金曜は学校に向かうコースによってはデート中のしーちゃんを見かける。

 あれー?

 二日連続で見かけた気がする〜?

 うーん。

 リア充め。

 ミホが有坂君以外に告られて微妙に困ってたりするらしいからそれもアレだなぁと感じる。


 それでもやっぱりあっという間に時間が過ぎて行くと思う。

 職場でパートさんたちの話題は近付いた夏祭り。

『浴衣着るの?』とか普通に聞かれる。予定ないって答えれば、『彼氏とデート?』とかも聞かれる。いないです。彼氏。

 少し、困れば、子供のことを話題に振れば早い。

『浴衣ドレスってちょっとね』『パニエがね』とか、『プール熱ってプールに入るからじゃないのよね』とかウチでは甘えるけど、外では嫌がることとかを楽しげに語ってる。

 自転車改造したり、ブランドモノを欲しがる中学生。『母さんは母さんの人生を歩んで』とか言っちゃう中学生。個性ってすごいなっと思う。

 彼女たちの話題はとても楽しいんだ。

 いやマジ面白いと思う。

「花火の無料配布もあるしね。楽しいからぜひ遊びにいらっしゃいよ」

 夏祭りかぁ。


 口に出して呟いてたのか、ミホがニコニコしてる。

「夏祭り一緒に行こ〜よ。るぅちゃんも誘ってるんだーまゆちゃんは用事があってダメなんだって〜」

 リア充見て何が楽しいんだろ。暑いし。

「レポート書かなきゃ」

 通信の方の課題がある。

「えー。息ぬき〜。息ぬきないといき抜けないよー」

 すっごくつまんないことを言ってけらけら笑う。

「ミホ、ソレつまんない」

「えー。ひっどーい……。なんでやねん!」

 棒読みでワザとらしい言葉。

「っざけんな」

 軽く頭をはたく。

 ひっどーいと言いながらも楽しそうに笑うミホ。教室そばで人影を見かけて走り出した。

「おはよ〜。夏祭り一緒に行こ〜よ」

 誰かに声をかけながら私の手首を離さない。だから、巻き込まれて小走り。

「花火だよ花火!」

 はしゃぐミホはかわいいのかなと思う。

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