6/25 園芸部
ナメクジ描写あります。
苦手な方はご注意ください。
祥晴が透き通ったガラス瓶をかかげる。
中には白いコナ。というか塩。
片手には割り箸。
「涼維が快く引き受けてくれてよかったぜ」
何を?
「んじゃ、れっつナメクジ駆除だ!」
「え?」
「すぐ見つかるからさ! 割り箸で捕まえてガラス瓶で塩漬けの刑に処してくれ!」
ぴろっとアジサイの葉やナスのみずみずしげな辺りから白い軟体生物を摘み上げガラス瓶に放り込む。どんどん瓶の中は白い生物でいっぱいになっていく。
それでもその生物はまだいるらしく、祥晴の動きは止まらない。
「涼維ー?」
「ごめん、ちょっと、むり」
気持ち、悪い。
「ん~? 手づかみしろって言ってるわけじゃねーけど、無理?」
俺は頷く。
動きがきしょい。
「ほい」
ポイポイと気軽に俺の持たされているガラス瓶と言う死地に白い軟体生物が放り込まれていく。
「塩、足りてるー?」
隆維である。
「あ。ちゃんと落とすなよー」
手の中のガラス瓶。蠢く断末魔の白い生物。
カタツムリは平気だけど、コレはダメだ。
落とす?
割れたガラス。塩まみれの白い軟体生物が蠢いて?
視線を落とせば、ジワジワと塩に炙られ縮むような動きがきしょい。嫌悪感が半端ない。
ガラスの触感が消える。
「日陰で座ってろよ」
みどりちゃんがそう言って、俺から瓶を取り上げて、隆維から割り箸を奪う。
「りゅーちゃんもそろそろ日陰にいろよ。はしゃぎ過ぎ」
少し離れた日陰で壁にもたれて、目を閉じる。
「大丈夫か?」
触ってこようとする隆維の手首を捕まえる。
引っ張って歩き出す。「え?」って不思議そうにおとなしく引かれる隆維。
「素手でも捕まえてたろ! 手を洗えーー!」
「ぉお♪ そーいえば落としかけたから素手でも触ったー」
平気そうな隆維がズルい。
あんなに気持ち悪いのに。
「追加の塩、用務員室でもらってくれって長船が言ってたー。少しマシになったら塩もらって戻ろーぜ」
平気そうどころか、楽しそうな隆維。
「あれ、どこまでたまるんだと思うー?」
なんで嬉しそうなんだよ!?




