飛鳥と千秋
「わけわかんねぇ」
そう言って少し凹んでるっぽいちーちゃんを見ながらお茶を口にする。
要領をイマイチ理解し難い説明に対する感想は、
「はぐらかされたわけね」
「なっ!」
反抗的だったので、声を落とせと促す。
「つまりさ、対話拒否されたんでしょ?」
対話拒否された事実をどーも認識してなかったらしいちーちゃんはイラついた表情。
ちーちゃんは反抗的になにを言っていても、しーちゃんの発言をそのまま受け入れる。バカにはしても疑わない。
ちょっと歪んだ依存の形。
だから、本当はしーちゃんがちーちゃんを傷つけたければ簡単なんだと思う。
ちーちゃんはしーちゃんのコトを下に見てるけれど、『裏切らない相手』としては『絶対の信頼』を寄せている。だから、しーちゃんが他に優しくするのが嫌でしーちゃんを突き放すというどこのいじめっ子だと思うけど、ちーちゃん基本、いじめっ子気質だよね。
けして自分を拒絶するはずのない相手から拒絶されて、現在混乱中。弱味晒してる自覚もなさそう。
どんだけ依存してて、好きなんだと思う。
「鎮が対話拒否?」
するわけないって反応をされた。
でも、対話拒否して、観察されてたんだと思うよ?
しーちゃんはよく観てるから。
どんな解釈をするのかはよくわからないけど、しーちゃんはよく観てる。
「ちーちゃんもさぁ、好きなひといたわけなんやしー、しーちゃんに好きな相手。しかも、問題の低い優良物件!! ここ大事。もう少し、寛大になってあげなよー」
どっちかってーと難有り物件なのちーちゃん、しーちゃん達の方なんだからさぁ。
「別に、反対してるわけじゃないよ」
なんか言ってる。
「おにーちゃんとられんのヤなクセに。突き放してばっかだから、伝わって無いのは自業自得だよ?」
きょうだい。よその人にとられんのってなんかヤダよね。相手のあら探ししたくなる。
「そんな、……つもりないよ……。伝え、る?」
あ。くいついた。
「たまには『好き』って抱きつくとかスキンシップ?」
少し考え込むような沈黙。悩む余地はあったかな?
「できるわけないだろ!!」
真っ赤になって叫ばれても困るって。
「騒がないの〜」
ちーちゃんが視線を落として、びブツブツ何か呟いている。
でもさ、しーちゃんスキンシップ大好きだよ?
軽くでも、喜ぶと思うなぁ。
囁けば、じとりと睨んでくる。
「鎮のクセにナマイキだ」
ちーちゃんがぼやいてる。
さてはて、どう行動するんだろうなぁ。




