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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014夏
527/823

6/3 うろ高料理部☆

 授業が終わった教室で帰り間際の千秋を引き止める。

「千秋。昨日は休むなんてどーしたのよ?」

「菊花ちゃん」

「ん?」

「昨日逸美来てた?」

「うん。来てたよ?」

「そっか」

 ほっとした様子の千秋は少し休み前より落ち着いた感じ。

 直樹にーさんとの相談がきいたのかな?

「体調不良?」

「んー。少し?」

 はぐらかす口調がイラつくけど、戻ってきた猫ぐらいは我慢してやろーじゃない。

「でも、そろそろ一回は料理部顔出しなー。愛だけに教育させてるんじゃ大変だからさー」

「俺、教えるのは得意じゃないんだけど?」

 あー。知ってる知ってる。

 あんま優しくはないもんね。

「千佳も気にしてるしー」

 怒るかな?

「千鶴ちゃんと千佳ちゃんかぁ」

「今日は?」

「昨日、バイトの方も休んでるからまた、ね」

 仕方ないなと思う。

「千秋ー?」

 ひょっこり現れたのは鎮。今日は火曜デートじゃないのか?

「しずめ?」

 不思議そうな千秋にひょこひょこよって来る鎮。

「大丈夫か?」

 千秋を覗き込む鎮。警戒して少し身を引いてる千秋。

 もちろん、一歩引いた(見えない)ロープ外からの観戦だ。


「大丈夫に決まってるだろ? デート費用が足りないとか言うんじゃないよな?」

「そっちは大丈夫だって。今回は別件ー」

「別件?」

 千秋が首を傾げる。

 うん。心境はわかる。

「そ」

 覗きこむような体勢のまま、

「愛してるよ。千秋」

 言い放つ。

 鎮、……場所選べよ。

 当然固まる千秋。

 あー、すっきりしたという表情の鎮。

「しずめ」

「うん?」

「なんかみょーなもの読んだ?」

「妙なものは読んでないって。図書室に兄弟愛を確かめることをテーマにした本があってさー」

 覗き込むように言い聞かせるように言うのがいいらしいよ? とか続けてる鎮。そー言えばけっこう影響受けやすいタイプだよね。

「ふっざけんなっ」

 怒る千秋を放置し「じゃね」と手を振って、たぶん、あのまま歌姫のおむかえだな。ありゃ。

 チラッと見ると残ってたクラスメイトが苦笑・同情組と萌・腐女子組に別れてた。

「千秋」

「なんだよ」

 苛立ちを抑えられてない声。

「同情するわ。イラついてバイトって大丈夫?」

「賃金発生するんだからきっちりしなきゃダメだろ。あそこは野放しにしたらやばいんだよ」

 うんざりした口調。

「何やってんの?」

 そう聞いてしまったのは当然の反応だと思う。

「帳簿付け」

 そう言ってバイトに向かう千秋を見送って部室の方へ向かう。

 今日は何かを作っているわけでなくて器具の手入れ日。

 クッキー型の種類の確認や、器具の組み立て方のレクチャーを一年生と三年生で二年の二人に教えてる構図。うん。なんかおかしい。

しおりん、すぐるん、去年、あんた達なにやってたの?」

 気まずげに視線を逸らす二人がつぶやいたのは、



『洗い物と卵割り』





『うろな担当見習いの覚え書き』

http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

 高原直樹さんお名前だけお借りしております。

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