6/8　家族時間

「あらぁ。惜しかったわねぇ」

「あとちょっとー！」

「マケはまけだよね」

　お母さんが残念そうに言いながらおやつを差し出し、画面に声を送りながら、受け取る千歳。じっと見つつ、切り捨てるようなことを言う縁くんは憮然と悔しそう。

　タイムが発表される前に「やったぁ」とはしゃいでたのが嘘のようだ。

「かのおねーたん？」

　紗羽ちゃんがきょとんと見上げて袖を引く。

「負けちゃったね」

　きょとんと首を傾げる。

　紗羽ちゃんが名前を覚えたのは私が呼んでたから。

　縁くんも一緒にだ。

「ちかねーたん？」

　紗羽ちゃんが名前を呼んで画面を叩く。

「かのおねーたんは？」

「番組終わっちゃったからもう映んないよ。ほら画面叩いちゃだーめ」

「やっ！」

　まだテレビを叩きそうな紗羽ちゃんに千歳が私の携帯をいじって得意げに差し出す。

「ほら！　夏音ちゃん！」

　友達になった時アドレス登録したついでに撮った写真だ。

　ちょっと今と化粧が違うのは進歩だろう。進化？

　いやいや下手なコトを言えば怒られる。

「かのおねーたん！」

　きゃあと喜ぶ紗羽ちゃんがかわいい。

　一時間後。

「ごめん。携帯返して。ちょっとプリントアウトしてくる。電池切れが心配すぎる」

　うとうとしてる紗羽ちゃんから携帯を抜き取り、ダッシュする私がいた。

　えーっと縁くんも欲しそうだったから三枚でイイかな？

　写真とかポスターとかそーゆーグッズ系ってアイドルやってるのなら出してるのかな？

　うーん。

　やってるんなら、友達のよしみで売上貢献してやろうかな？

　そんなコトを思いながらコンビニのコピー機でプリントアウト。

　ま、今度聞けばイイよね！

　あ。

『うろＮOW！』

　パラリと見た限り、対象読者は男子より。萌え成分が足りない。

　今回も購入見送りー♪

　悩んで雑誌は見送ることにした。

　あとドリンク買って、さ、帰ろ。